Wonderful days 従兄なんだぞ side国光 氷帝学園中等部、と書かれた校門の前に、少年は居た。 周囲は、「青学の手塚だ」、「手塚君、何しに来たんだろ」、等と呟く声が聞こえる。 そんな声に、耳を傾ける事も無く、歩き始める。 [確か、奏汰も氷帝の生徒だったな] 従妹である奏汰。 運が良ければ逢えるかも知れない。 そんな事を考えながら、待ち合わせ場所に向かった。 ◇◆◇◆◇◆◇◆ エントランス。 そこには、跡部が居た。 「よぉ、手塚」 「跡部」 対面した瞬間、騒ぎ出す周囲に、眉根を寄せる。 「他校生が珍しいんだよ」 「………」 小さく溜息を吐いた瞬間、ツンツン、と背中を軽く突かれる。 国光に対して、こんな子供じみた事をするのは、ただ一人だけ。 「……何をしている?」 「キミの背中を突っついているのだよ、ハチミツくん」 へにゃり、と笑う奏汰の笑顔。 何時も構って欲しい時に見せる笑顔だが、いかんせん。 場所が場所だけに甘やかす訳にはいかない。 「奏汰、好い加減名前を覚えろ。国光だ」 「別に覚えなくても生きて往け――…努力します」 「判ったのならそれで良い」 シュン、とした表情に、若干の罪悪感を抱きながら、奏汰を見ていたが、奏汰は気にする事なく、国光との関係を景吾に話していた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |