15にもなって、寝間着と部屋着と外出着が兼用となってるジャージ姿で、ゲームをいじりながらペットボトルのオレンジジュースを飲んで。

 情けないというかもうどうでにもなれというか。

 そんな思いで弟を見ていると、「ドミって?」と、ようやくあたしの問いに反応した。



「何のゲーム? 俺知らないよ」

「土見先生のこと。生徒だけのあだ名っていうかさ」

「ふーん。土見先生って人知らないし。その人何なの?」



 ドミに好きって言っちゃったけど、もしかしたらドミは自分がドミであることを知らないんじゃないかなっていう淡い期待があった。

 それを確認したくて弟にちょっと聞いてみたけど、弟は学校に行く回数が他より少ないし、何より1年生だから土見先生と関わりがないんだった。

 これじゃあ確認のしようがなくてあたしは「聞いただけ」と短く答える。



 ドミが自分のあだ名を知らないんならさっきのあたしの告白だって分かってないわけだし、その通りならあたしは明日普通に先生に接しようと思うけど。

 どうなんだろう。



 あたしはソファに座って弟のジュースを飲む。

 酸味が強い。



「明日は学校行きなよ」



 あたしがテーブルの下に見つけた紙くずを拾いながら言うと弟はやる気のなさそうな声で返事をする。



「部活あるから行くつもり」

「あ、そう」



 部活がどうとかじゃなくて試験の結果が返されたり文化祭がもうすぐ控えてたりするんだから、と口をうるさくして言ってみようかと思って、やめる。

 部活をサボったあたしに言う権利はない気がした。

(*)backgo(#)

木春菊

第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!