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家に帰ると、玄関で鉢合わせした弟はあたしを怪訝な顔して見る。
どうやら鞄を持たずに帰って来たのを見て、怪しく思ったらしい。
けど特に何も言うことはなくて携帯ゲームを持ってさっさとリビングへと入って行ってしまった。
あたしはさっきまで泣いていたのがばれたのかと思って内心ドキドキしたわけだけど、そんな様子はないので小さく息をついた。
母は今日はパートだったかなと思いだしながらリビングに入るとテーブルの上にはからのスナック菓子の袋が散乱していた。
毎度のことながらあたしは呆れて、ドア付近のゴミ箱を引き寄せてゴミを片づける。
「今日もサボったんだ?」
「……あー」
「よく先生何も言わないね。電話来るでしょ?」
ゴミ箱を元の位置に戻して弟を見る。
ゲームに熱中してるときはいつもあんな不抜けた顔だ。
「あのさぁ」
「…………」
返事をしないのは聞いてないんじゃなくて、画面の文字を読んでるんだろう。
構わずあたしは不抜けた顔を見たまま続ける。
「ドミって、知ってる?」
弟はあたしの通う高校の1年生で、4月に入学したものの以前からのサボり癖があってなかなか真面目に学校に通わない。
部活のある月曜日と水曜日と金曜日は必ず行ってるらしいけど、他の日はその日の気まぐれで行ったり行かなかったり自由な奴だった。
初めのうちは姉だからって言ってあたしが弟の担任から呼び出しを受けることもあった。
その回数もだんだんと減っていき、今では弟は学校一の自由の身というか。
一応うちの学校は進学校のはずで、怠けるのが目的のサボりなんて見過ごされないはずなんだけど。
(*)backgo(#)
木春菊
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