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林ってほどじゃないけど校舎の北側にあるこの裏庭には木が割と多く群生していた。
おまけ程度に池なんかもあって、ちょっと古風を感じさせる風景として、たまに来客が眺めて校長とかがちょっと鼻を高くしてる場所。
あたしはそばを通り過ぎることはあっても池のなかを覗いたことはないし、生徒も特に目をくれるようなところではなかった。
それでその木陰に隠れるようにしてあたしはいたわけだけど、長居して誰かに見られても構わない状況ではないことは確か。
ドミに腕を放してもらうように言う。
ドミは1歩下がるようにしてあたしを解放した。
「恵、1人で、大丈夫か……?」
「部活行かなきゃ」
「今日は休んだほうが」
「もう2日ずるけちゃったし、彩子にも行くって言っちゃったから」
立ち上がろうとするあたしをドミはまだ納得いかないらしくて、少し考える素振りを見せてからあたしに顔を向けた。
「彩子には俺が言っとく」
そうしてドミはあたしをこの場所において、そのまま彩子のところへ行くらしかった。
ちょっと待ってろと言って立ち上がった。
「すぐ戻る」
あたしは目元を抑えようと袖を顔に近づける。
けど休み時間に腕まくりをしたままだったから、微妙に袖が届かなくて。
ドミに返事をするのが何となく億劫に感じたあたしは袖を元に戻そうと、自分の手元から視線を動かさないでいた。
ドミは少し立ち止まっていたけれどあたしが何も言わない様を見て、同様にドミも何も言うことなく走って行った。
足音が聞こえなくなったところであたしは大きく息をついて、袖の長さが中途半端なまま腕を下ろした。
go(#)
木春菊
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