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次の時間は体育らしく、体操服姿の小柄なリスがちょこちょこと女子生徒数名と歩いているのを見かけた。
あたしはそれを渡り廊下の屋上で、柵に寄りかかってしばらく眺める。
#6
グラウンドに入って行くとリスはふわふわの髪を跳ねさせて、女子たちが輪を作って座っている鉄棒まで走って行った。
もう立ち直ったんだろうかと他人ごとなのに何だか気にしてしまって。
もう教室に戻ったほうがいい時間だけれどあたしの足は動かない。
いっそのことサボってしまおうかと思うけれどそんな勇気はなくて、グラウンドに体育の先生が現れたところで気持ちは教室へ行かなくちゃと焦りが生じる。
そのとき渡り廊下の出入り口付近でドアの開く音が聞こえた。
「恵」
ドミは名簿らしき物を持った手のほうを掲げて「よ」と声をかけてきた。
「次の時間は何だ」
「選択です」
「教室か」
「はい、今行くとこです」
俺は職員室戻るところだ、と言ってあたしの隣に並んで柵に寄りかかった。
言ってることとやってることが違うんじゃないかと思ってドミを見上げたけれど、ドミは向こうの、景色の遠いところを見ていたのであたしは開きかけた口を閉じる。
この日は気候が良くて、半袖で来れば良かったかなって思わせるくらいの温かさ。
袖を捲くろうにも、手に持った教科書やらノートが邪魔で上手くいかない。
そんなあたしを見てドミは「ほら」と、それだけ言ってあたしの荷物を取り上げた。
「もう夏だな」
心地よい風が腕も掠めていく。
go(#)
木春菊
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