4日間の試験が終わり、午後からは通常通りの日程となっている。

 次の授業は選択科目であり、いくつかの科目のなかからあたしは世界史を取っていて、さらに世界史の係ということで職員室に向かっていた。










#3










 気候も穏やかで、校内は喧騒なんかあるはずもなくのんびりとした空気。

 試験が終わったということでいくらか空気がやんわりと和やかなものになっているんだろうというなか、あたしの足取りは重かった。



 試験が悪かったとは言わない。

 主要科目の試験だったということもあり、それほど頭を悩ませる試験はなかった。

 各先生が事前に提示していた範囲とプリントのおかげでいつもの通りの手応えはあったし、クラスの子と簡単な答え合わせをしても、大きな問題でちゃんと点数を稼げたことは確認できた。



 足取りが軽くならないわけは、今から会う人物だった。



「恵ー、こっちこっち」



 職員室に入った直後に声がかかり、あたしの顔は一瞬にして引きつる。



 ドミは職員室のベランダに出ていて、そこから手を振ってきた。

 カップを手にしているところを見ると、あたしとは違ってゆったりと落ち着いた時間を過ごしているよう。

 あたしは職員室内のごちゃごちゃした通路を通ってようやくベランダまで辿り着く。

 いつになったらあの紙の山は片付けられるんだろうと思いながら「教科係ですけど……」とドミに切り出すと、さっきまで窓のカーテンで遮断されて見えなかった人物が目に入る。



「教科係ですけどって、早くない? 今昼休憩真っ只中だぞ。授業の5分前に来いよ」



 ドミの横で同じくカップを持った森先生があたしを見るなりせき込んだ。

go(#)

木春菊

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