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いろいろお題
[遙か6]〜明日は誰の家で(青龍・白虎)〜


「…」
「♪」

蠱惑の森の ダリウス邸に 有馬さんが 訪ねてきましたよ〜???


〜明日は誰の家で(青龍・白虎)〜



「…?」

お皿を 拭き拭き、でもやっぱり 気になるので。
厨房を飛び出して 物陰から 様子を窺うルード。

「…おい」

「うっ!?…な、何ですか 虎。いきなり 声を掛けないでください」

”うっ”の あと。
”わあぁ!?”と 続く悲鳴を 飲み込んだルードは ヒソヒソ 小声で抗議。

「「…なんで アイツが いるんだよ?」」
「「知りませんよ…私にも 何が何だか…」」

禍津迦具土神との戦いのあとも 一時休戦中…みたいに なってはいたが…

「「そーいや…邸がどうにも静かだと 思ったら ガキがひとり いないじゃねぇか」」
「「コハクですか? 彼なら 朝食を終えたあと、出掛けていきましたが」」

キチンと 掃除もしていったようなので 遊びに行っても 問題ない。

「「そういえば…コハクと入れ違いで 有馬一が着たような…」」
「「なんだぁ? コハクが案内したのかよ」」

それは ダリウスに頼まれたから、なので。
掃除も終え、出掛ける準備をしていたコハクに ダリウスが…


――「森の入り口に 有馬がいると思うから、ここまで案内してあげて♪」――


…と、お使いを頼んだのだ。

「じゃあ お館様の戯れかよ。ちっ」
「虎。何に対しての舌打ちですか?」

「てっきり 精鋭分隊隊長様が 鬼の住処に 殴りこんで来たのかと、ウズウズしてたのだが…♪」
「はあ…相変わらず 野蛮ですね、虎は」

ヤレヤレ…と、呆れるルード。
でも ダリウスが 直々に招いた客ならと、お茶の用意を始めた。

「ああ、ルード。お茶の用意なら しなくてもいいよ」
邸の中でも 神出鬼没な ダリウスは、リビングに 有馬を残し、厨房へ。

「え…、しかしダリウス様。遺恨の相手とはいえ、礼を尽くさないのは…」

「違う違う。今日はね… … …^^」

ふふふ…♪ と、ゴキゲンなダリウス。

いつにも増して…

この笑みの真相は、やはりコレしかない…!



「誠意を尽くした とっておきの 手料理を振舞おうと、呼んだのさ♪」



(…、えっ…、えええええ〜〜〜〜〜)×2

声に出さず、表情も なるべく崩さず。
白虎ふたりは 主の気まぐれに ただただ 仰天するのだった。

          *****

「…?」

厨房で何やら騒がしい。
すっくと 立ち上がり、様子を見に行くか…



否か… …



(だが待てと 言われた…招かれた側として 従うのが賢明だろう…)

腕を組み、ソファーに 腰を据えた。

          *****

厨房では ダリウスのクッキングが 始まろうとしていた。

「ダ…ダリウス様。料理は私の仕事…、ですので…その…!」

ダリウスの機嫌を 損ねないように…
慎重に言葉を選びつつ、速やかに 厨房から 退いて欲しいのだ。

「そうだね。お昼の準備もあるし」

「! は、はい。客人が居られるので 今日は 腕によりをかけようかと…!!」

「お! マジか♪」
思いがけず飛び出た 粋な提案に 喜ぶ政虎。



「そう思ってね、実は昨日の晩に 作っておいたんだ♪」



「へ∵?」×2

ニコニコと、イソイソと。隠しておいた 料理を取り出す。

ダリウスは昨日の晩、ルードが就寝するのを見計らってから 厨房に立った。

そうして、この料理を 完成させたのだ!!



「有馬は コロッケが好物だと 聞いたからね。まったく新しい 創作コロッケを 作ってみたのだよ♪」



(…、なっ…、なななななーーーーー)×2

コロッケ? は 何とも形容しがたい一品に 成り果てていた!!

「有馬のような 実直な人間が 統率するなら、まだ 帝国軍にも 救いがあると 信じたいからね」

コロッケ? は 仲直りのしるし。
ダリウスの 些細な 真心なのだ。

「「お、おい ルード。あんなの 隊長さんに 食わしたら 逆に拗れないか?」」
「「な、何と無礼な…ダリウス様に 失礼ですよ…!」」

ヒソヒソ〜っと、ダリウス渾身の一品に ついての感想。

「さっそく有馬に 食べさせてあげよう♪ 待ちくたびれているだろうし^^」

お皿に盛り付け、お茶を淹れる。
お茶は絶品だが、料理は一か八かなのが ダリウスの魅力? なのだ。

「お、お待ちください! ダリウス様!!」

身体を張って通せんぼ。
厨房から逃しません。

「その…コロッケ?…あ、味見は されたのでしょうか?」
「いや。していないが…」

「そ、それは いけません! 味見は するべきです!」
「だけど 俺が作ったから たぶん美味しいと思うよ」

(その自信は いったいどこから 湧いてくるんだ…?)

当たらず、触らず。
傍観を決め込む模様の政虎だ。

「私も皆様にお出しする前、味見は一度も欠かした事をございません。料理に 絶対など、ないのですよ」

ルードの真摯な説得にダリウスは…



「そうだね…どんなものにも”絶対”は無い…改めて気付かされたよ」



納得してくれた…!

「ではひと口…」
「お、お待ちください!! ダリウス様!!」

お皿ごと 取り上げる。

「ご自身で味見をしては 評価が 甘くなりがちです。ここは虎に 任せてみましょう」
「はあっ!!?」

頼んでもいないのに 白羽の矢が 飛んできた。

「「だ・れ・が、こんなもん 味見するかよ!!」」
「「…向こう一週間!」」

「「?」」

「「貴方の望む夕食を提供しましょう」」
「「…マジか♪」」

ヒソヒソ〜っと コロッケ? の 味見を巡った 天地白虎の戦いが始まり、終決した。

(う〜ん…ルードは 自分で 味見しているんだよね…?)

ダリウスの 小さな疑問は 置いてかれた。

          *****

「…む!」


     ――…ザアザア…――


(通り雨か)


     ――…パタパタ…――


(むむ! あれは…布団のシーツでは…)

雨風に晒されている 洗濯済みの 真っ白なシーツが 目に入った。

(知った以上 何とかせねば…)

すっくと 立ち上がり、リビングを あとにした。

          *****

(…う…うぐぐ…)
(虎…貴方が頼みです)

厨房では 政虎がコロッケ? の 味見の 真っ最中だった。





「…、…、…やっぱり こんなの… … …食えるかーーー!!!」





ぽいーんっ! と、コロッケ? は 宙を飛んだ。

「あっ! 食べ物を投げるなど 何という事を!!」
「知るか!」

一週間 望み通りの夕食より、健康が第一だった。

そんな事より、飛んでいったコロッケ? は・・・・・



「ルードハーネ。シーツが雨に晒さ…」



…ひゅーん…… …



「…パクっ……」



雨降りを 知らせようと やって来た 有馬の口の中へ…



「…モグ…モグ… …… …… …ゴクン…」

食べてしまった…

「…」

微動だにしない有馬…

「♪」

一方 食べさせたい相手の 口に入ったので ご機嫌なダリウス。

(…こりゃあ ダメだな)
(い…胃薬を…用意した方が いいのでしょうか…)

成り行きを 見守るしかない 天地の白虎。

「…こ」



「コ?」×3



「…コロッケ…だな… … …やはり美味い♪」

「そうだろう。キミの為に作った 俺の手作りさ^^」
「お前に こんな特技が あったのか。凄いな…」
「ふふふ。まぁね(^^♪」

「「ちっ…なら 勇気を出して 食えば良かった」」
「「わ…私はダリウス様を 信じていましたけれど」」

一か八かと噂される ダリウスの料理…

今回は”一”の方で めでたし めでたし、なのでした♪




∽∽∽あとがき∽∽∽

同じお題で 出演者を 代えてみました(^^♪

明日・・・と、いうか。今日は ダリウス邸で 有馬さん をおもてなしー!


「キミの家も見てみたいな」
「…礼を受けた身だからな…今度 考えておこう」


・・・他の隊員も 多数居住の 屯所で 第二回・帝国軍と 鬼の茶会・・・

果たして、開かれるのでしょうか???

ここまで読んで下さり、ありがとうございました!!
お題:仲良し四人組「明日は誰の家で」


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あきゅろす。
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