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いろいろお題
[遙か6]〜世間知らずの第一歩〜


「千代 千代! 千代 千代!」
「どうしたの 九段?」

おつかい中の 千代を 見つけた九段は 雛鳥のように 千代の側へ。

「一大事だ! 早う、早う 来てくれ!」
「??????」

ビックリする間も無く、萩尾邸に案内された。


〜世間知らずの第一歩〜



「まあぁ」
「みかんの様子を 見に行ったら、この者が 我の邸に 倒れこんできたのだ」

「…〜…」

5年前の 萩尾邸に 迷い込んできた者。
そう、里谷村雨だった。

「…〜…」

「この者は みかんを 握り締めたまま、何も話してくれぬ…みかんも離してくれぬ凹」

食いしん坊の九段に とって、みかんひとつと いえど 救わねばならない(笑)

「九段。この人は 行き倒れているのよ」
「? いきだおれ…ふむ…小説で読んだ事がある」

行き倒れる小説…
いったい どんな本を読んでいるのかしら…と、千代は ひと息を吐いた。

「変わったお召し物だし…遠くから来た方なのかも…」
「異邦人という者か! 小説で読んだ事がある!」

九段の目の色が変わった。

「とにかく、行き倒れたままに しておくなんて あんまりだわ。お部屋で 安静に させてあげなきゃ」

!!衝撃の事実!!
村雨は 庭にて 力尽きたまま 放置されていたのだー!?

               ☆

千代の助言で 村雨は 萩尾邸で野垂れ死に…だけは免れた。

「衰弱は激しいけれど 命に別状は なさそうね」
「そうか」

「私…おつかいの途中だから 行かなくちゃ…でも…」

このままに しておいて 平気かしら…
世間とズレている九段なので、千代も少々心配なご様子。

「任せておけ! この者は 我が 回復させてみるのだ!」

胸を トンっと、叩いて 自信満々の九段。
そうして、ひと言。

「さて、我は 何をすればよい?」

(く・九段ったら〜)

自信満々の”トンっ”は いったい 何だったのか…
それでも平静で いられたのは 長年の付き合い だからだろう。

「眠っている間は 冷やしたタオルを 額に乗せて、熱を取って あげるの」
「ふむふむ」

「目覚めたら お粥とか、食べやすい食事を 用意するのよ」
「むう…みかんでは ダメなのか?」

「そんな事ないわ。果物は元気になるし、みかんもいいわね」
「そうか♪ 甘そうなものを 見繕ってやろう」

食べ頃の みかんの山を 持ってきて(村雨が寝ている傍で)選別を始めた。

(…目立った外傷もなさそうだし…お家の人もいるから大丈夫…よね)

布団に寝かせられ、呼吸も正常。
千代はタオルを絞り、村雨の額に乗せた。

「タオルは こまめに 代えてあげて。私、行くね」
「世話を掛けた。千代も おつかいの任、立派に果たすがよい」

「帰りに 様子を 見に来るわね」
「うむ」

そう言い、萩尾邸を あとにする千代だった。

               ☆

               ☆

               ☆

「駒野様! 駒野様!」
「どうされたの?」

おつかいの帰り道。
萩尾邸の近くまで来た千代を 萩尾家の 使用人達が 手を拱{こまね}いて 待っていた。

「九段様を…九段様を お諌めください!!」
「えええっ!??」

使用人達に案内され、九段のもとへと急ぐ 千代だった。

               ☆

「千代 千代!! 千代 千代><」
「まあまあ!!?」

村雨の惨状を 見た千代は 呆気に取られた。

「何があったの?」
「我は…、我は…」

クウウ…っと、苦悶の表情を浮かべ、九段は語り始めた。

            § §
            § §

「我 ひとりでも 平気なのだ^^」

「く、九段様…」
「ですが 看病は 私共の方が 慣れております故…」

「来るべき 神子再来の折、我が神子の世話をするが使命…ぬしらに 頼ってばかりでは いかんのだ」

なんと!!
村雨は”神子のお世話”の 予行練習に ピッタリだったのだ!

「我も十四。いつまでも 世話をされる方では いけないのだ」

さあさあ と、使用人達を退室させた。

               ☆

村雨が クウクウと 眠っている間は、千代に言われた通り、タオルをせっせと交換して 世話を焼いていた。

「ほ…どうやら 心配は無用のようだ…」
「九段様…立派に成られて…」

退室させられても 九段の成長を 見守ってきた 使用人達は、そっと様子を窺っていたのだ。



「…… …ん…んん…」



「!おお! ぬし、目覚めたか!!」

「…ここ…は…?…俺は…生きて…いるのか…?」
「うむ。ぬしは我の邸で 行き倒れていたのだ」

イソイソと、村雨が目覚めたら…… …

…… …次のステップへ♪

「目覚めたら食事♪ もぎたての みかんだ。甘いのを選んだぞ!!」

「!?!?!?!?!?」

            
            

「・・・・・九段、貴方は みかんを 皮ごと頂くのかしら…?」
「なんとっ!?」

村雨の口の中には みかんが ねじ込まれていたのだーー!?




∽∽∽あとがき∽∽∽

村雨さんの イベントで”目覚めたら、枕元に 山盛りのみかんが 置いてあったよ”の セリフから ヒントを得ました。

村雨さんに みかんを 食べさせてあげねば! と、集中していて、みかんの皮を むくのを 忘れてしまった 九段さんでしたー(笑)

「千代 千代! 千代 千代!」が 書きたかっただけ…もあったり♪

ここまで読んで下さり、ありがとうございました!!
お題:友情「幼馴染」

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