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いろいろお題
[イルベック]〜旅する月と花紅葉・後編〜


「あのね、リューム」
「なんじゃ」
「キミが いくらクレリアを好いても、一方通行では娶れないんだよ?」
「むむ! クレリアは わらわを 嫌いと申すか!?」

ぷっくり脹れた。
その仕草は16歳にしては、やや幼い。

「だからね、勝負をしたらいい」
同じく、ムスっとしている エトワスに ウィンクをして 提案します。


〜旅する月と花紅葉・後編〜



ヴィーカの提案した勝負。
それは 食後のデザートを採ってくる、という シンプルな ものだった。

「キミ達の 愛しいクレリアは スイーツを所望だよ」
「い・愛しい!!?」
「ほほほ♪ 容易いのじゃー!」

クレリアへの想いは まだ照れ臭いエトワスは オタオタ。
躊躇ったお蔭で リュームが 一歩リード。

「エトワスー。負けてしまうよ〜?」
「ななっ!! 待てーーー!!!」

遅れてエトワスも スイーツ探しに 行きました。

               ★

しかしこの勝負。
エトワスには不利でした。

「…どれが 食べられるもの なのか…さっぱり 分からん!!」

此間まで 村の中だけが エトワスの世界だった。

話し相手は クルルだけ。

外の世界に疎く、野の食物の知識は皆無だった。

アテも無く、森を歩いていると・・・





〜♪ 〜〜♪♪ 〜〜〜♪♪♪





「???この音色は???」

不思議なメロディ。

秋の精霊が唄う、精霊のうた。

植物を成長させる効果があります。

「ん?…ほほほ^^ 遅かったのじゃ」
メロディが終り、リュームは勝ち誇ります。

「わらわが 楓の木々に 唄いかけ、とびきりの メイプルシロップを作ったのじゃ」

得意気にエトワスを・・・・・見上げます???

「お前…?」
「…お主…大きくなってないか…?」
「違うだろ! お前が、小さく なってるんだ!!」

「・・・へ?」





     ―― ぽん☆――





軽やかな効果音と共に、リュームの姿は変わります。

「…∵」
《…∵》

仲良く 埴輪{ハニワ}に なって沈黙。

「小さくなったー!?」
《何故なのじゃー!?》

そして オタオタ祭りが 始まります。

「――…… …やーっと 見つけた…!」

「え?」《ん?》

狼狽{うろた}え まくる ふたりの前に コーセルテルから 事情を知っている人物が。

《む! お主は!》
「師匠!??」

「やあ^^」
にっこり笑顔の ミリュウが いました。

               ★

ミリュウは 紅葉の精霊達に リュームが コーセルテルを 飛び出してしまった事を聞き、彼を捜しに来たのでした。

《わらわは成長したのじゃ! だからクレリアの元へ参ったのじゃ》
「キミの成長は コーセルテルが 精霊の力で 満ちているから なんだよ」

コーセルテルは 幼い竜や精霊にとって 力を安定して 得られる特別な場所。

「外の世界は 精霊の力が 不安定だからね。この森には力を得られる紅葉が少ないようだ」
「だから リュームさんは 元の大きさに…」

クレリアの 手のひらに ちょこんと収まり、リュームは ぷんぷく 脹れます。

「さあ、コーセルテルに 帰ろう」
《むー! イヤじゃー!!》

ミリュウの 差し伸べた手を ぷいっと はね退け、クレリアに くっ付きます。

《わらわは クレリアと いたいのじゃ! 大きくなって、分かったのじゃ!!》

成長したのは 身体だけでは なかったのです。
心も成長し、クレリアへの想いを 再度、知ったのでした。

《エトワスには…負けないのじゃ…!… … …うう><》

「リューム!?」「リュームさん!?」

手のひらのリュームは 突然 苦しみました。
クレリアは集中して リュームの精霊の力を探ります。

「精霊の力が足りない…早くこの場を離れないと…」
「離れないと…どうなるんだ?」

エトワスは尋ねます。

「リュームさんは精霊の姿を 保っていけなくなって…記憶を失うまで 眠り続けてしまうんです…」
「なんだって!?」

エトワスは リュームを むんずと掴み、ミリュウに渡します。

《何をするー!!》
「早くコーセルテルへ連れて行け!」
《ムカー! わらわをコーセルテルに 追いやり、クレリアと 愛を育む 魂胆じゃなー!!》

ミリュウから逃れようとしても…力が入りません凹

「そんな事しない!!」
エトワスは リュームを 真っ直ぐ見て、言いました。

「…お前が大きくなるまで・・・・・待っててやる」
《エトワス…》

「だから コーセルテルで 大きくなれ」
《…ん》

リュームはエトワスの、本心から 自分を心配している気持ちを 感じました。

だけど 天邪鬼な リューム。
素直に言う事は聞けません。

《お前がわらわと 対等になるまで、猶予を与えてやる♪》

アカンベー と、エトワスの 小さなライバルは 夕焼け空の彼方へ飛んでゆきました、とさ。




∽∽∽あとがき∽∽∽

「空籠術士」で リュームの 成長した姿が 見れます♪

お題は何故か 長く長くなってしまうので、前編と後編に分け、お題も ちゃっかり ふたつこなす 月篠なのでした。

ここまで読んで下さり、ありがとうございました!!

お題:友情「仲直り」

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