口から出まかせ
シトラスが白ひげ海賊団に入ってから数日。
初日にマルコが目撃したシトラスの大食いは五日間による絶食の空腹ではなく、元からだということが判明したのもまだ新しく、大食いのせいかエースとシトラスはやけに仲がよかった。
それは兄弟というよりも親子といったほうがいいのは誰もが思っていた。
「エース、これ食べるといいですよ。腹持ちはいいですし、なにより栄養が高い。君はまだ食べ盛りですからね」
(((((((エースは二十歳だぞ!!!)))))))
誰もが心の中でツッコミをいれたが、先日彼がエースを海へ突き落としたのが怖くて口には出せなかった。
「お、サンキュ。シトラス」
「そういえば、白ひげ海賊団には非常食があるってしってましたか?」
「んだそれ」
エースは首をかしげた。
この大所帯。
食糧庫の減りは早いが、食糧庫が空になれば船員全員で釣り大会が行われる。
「いくら釣りでも嵐の日とかはできませんよね。そういう日はどうすると思いますか?」
「ん?????」
エースは首をかしげて考えた。
しかし思いつくよりも先に、首を傾げすぎたせいで椅子から落ちてしまった。
シトラスは苦笑を浮かべながらエースを座りなおさせた。
「マルコの頭ですよ」
シトラスは遠くで食事をしているマルコの頭を指差した。
「マルコのか?」
「えぇ、マルコの髪は一見ただの髪ですけどもぎ取ってみるとたちまちバナナへ変わるんです」
「すっげぇぇぇぇぇええええ!!!!」
エースは一瞬で目をきらきらに輝かせて叫んだ。
「頭を切り落とせば中が出てくるのはおいしい甘いパイナップル」
シトラスは拳をギュっと入れて熱弁するように言った。
「不死鳥化すれば鶏肉へ!」
「うんうん!!!!」
「彼は頭の先から足の指先までたちまち非常食へ変わる人なんです!!!!!」
「おおおぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおお!!!!!!」
これもかというぐらいエースの目は輝いた。
「今度試してみるといいで「最初からもう一回、聞かせてくれよい。シトラス」
ドスの聞いた低い声が後ろから聞こえてきた。
シトラス曰く非常食に茶髪の頭を掴まれた。
「やだなぁ、マルコ。冗談ですよい」
「お前はどんだけ人を馬鹿にすれば気がすむよい!!!!」
さすがにこれはヤバイと思ったシトラスは悪魔の実の能力で風になって食堂を飛び出ていった。
「待てい!!」
マルコも急いで追いかけようとしたが一歩踏み出した瞬間、頭、いや髪をつかまれて後ろへ反り返ってしまった。
その犯人はエースだった。
しりもちをついてしまったマルコをお構いなく何度もマルコの髪の毛を掴んで引っ張っている。
「マルコ。このバナナどうやったら取れるんだよ」
その瞬間、食堂の空気が凍り付いたのはいうまでもない。
怒る非常食
シトラスは甲板でエースの叫び声をBGMに昼寝を始めるのだった。
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