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兄弟自慢
昼間の間に肉を堪能しまくったシトラスとエースはご機嫌で夜、船室で談笑していた。
船室は最近、魘されることの多いシトラスに個室が与えられたため、シトラスの部屋に来ていた。

「なぁ、シトラスに兄弟とか家族っていないのか?」

そう声をかけたエースにやさしくシトラスは微笑んだ。そして机の中から一枚の写真を取り出した。

「妹か?」

写真に一緒にうつるシトラスと同じ茶髪の女性を指差した。

「そうですよ。僕より七つも下なんです。だからエースと同い年になりますね」
「へぇ、似てるな」
「そうですか?」
「うん、似てる」
「それは嬉しいですね。ありがとうございます」
「おう!」

シトラスは大事そうに机の中に写真を戻した。

「エースに兄弟は?」
「弟が一人」

そう答えるとエースはいつもズボンからさげているバックの中から一枚の紙を取り出した。
それは一枚の手配書だった。
手配書の中にはまぶしい笑顔の麦藁帽子を被った少年が載っていた。

「俺の弟だ!血は繋がってねぇけど、大事な弟だ」
「さすがエースの弟。手配書に載っているってことは強いんですね」
「おう、そうだ!けどあいつは昔っから泣き虫で俺がいないとだめだったんだ」

エースは手配書の中の少年と同じような笑顔を浮かべて話した。

「似てますね」

シトラスはそうつぶやいた。
手配書の少年を眺めながらつぶやいた。
それにエースは怪訝な顔を浮かべた。

「そうか?俺とルフィは血、繋がってないんだぞ」
「えぇ、とても似ています」

エースはそれに少し照れくさそうに頬をぽりぽりと掻いた。

「笑顔がとても似ています」
「おう!」

エースは照れ隠しなのか大声で相槌を打った。

「知ってますか?人間って長い時間ともにいると、その人に自然と似てくるんですよ。似ようとするっていったほうが正しいですね。そして家族よりも強い絆が生まれるのだと昔、本で読みました。まさにエースとそのルフィという少年ですね」
「なんか難しくてよくわかんねぇけど褒めてるのか?」
「えぇ、とてもいい褒め言葉を僕は言ったんですよ」
「そうなのか?ありがと!!」

笑うエースをシトラスは懐かしげにその黒髪を撫でた。

「どうしたんだ?」

いつもなら子ども扱いするなと怒るエースも、シトラスの顔を見てそう尋ねた。

「何がですか?」
「何がって、お前」

エースはシトラスの顔を指差した。

「泣いてる」
「え?」

シトラスは頬を触った。
そこはしっかりとぬれていた。

「妹のことを思い出したんでしょう」
「妹、生きてるのか?」
「えぇ、あれは死んでも死なない珍種ですから。ただいつもそのルフィという少年のように泣き虫で、僕が側にいないとだめだったので、気がかりなんですよ」
「そうなのか」

シトラスとエースはその後、何事もなかったように談笑しながら眠りにつくのだった。


まるで親子



「シトラス、そんなとこで何やってるんだよい?」
「マルコ、実は昨日エースと談笑していたんです」
「それでエースと一緒に寝てるのは分かるけど、ハルタまで」
「輪に入りたかったんでしょうね」


マルコの目の前には気持ちよさそうに眠るハルタとエースに抱きつかれてベッドから起き上がることのできないシトラスがいたのだった。





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