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モコたんと2Pジャック
想いは報われない。
 





 
 
ねぇ、嘘って何だと思う?





 
 
 
 
唐突なその問いが自分に向けられるものだと気づくのに時間がかかってしまった。怒らせたら後が怖い。
黒髪の少年は体を休めていたソファーから体を起こす。
ソファーの背もたれ、の上に先ほどの問いをかけた人物がいた
「…はぁ、アンタも飽きないな。
どうしてまぁ…そんな後ろ向き発言が出来るんだか…」


その背に問いかける
返事は、ない


「…どーせ、またカニパンが何かムカつくことでも言ったんだろ?

あんま気にしない方が、身のた」


 
 
 
 
いつのまにか

首に回された腕
くすぐったい髪

何が起こってる?
 
 
「うぅ〜…黙って聞け、ばかぁ…
ヴィルがさ、ヴィルがさ、…」
 
 
 
『今度…ある組織との会食があるんだ

…そこで、だ。
モコたんにはひじょーに悪いとは思ってる、だが私の顔を立てるという面でお願いがある』

『なぁに?ヴィルのためなら何だってするよ』

『おお、そうか。
やはりモコたんは最高だな。


じゃあ、私の妻役、頼んだぞ。』

『え?』

『いや、な?
…先方が、私の妻に会いたいとか言い始めてな。妻など初めから居ないし、断ろうと思ったのだが…そこのデータが欲しいからな…内部に侵入するためにも、穏便に話を進めたいのだ。』

『つまりは…女装しろと?』

『ああ…すまない』
 
 
 
「ヒドいよね!
全くもってだ。僕がヴィルに逆らえないのを知ってるからって…!!」
 
 
要するにアレか。
女装したくないから嘘をついて逃げ出したいと。そういうことか。

「…はぁ。だったらセシルに変わってもらえばいーじゃんか。」
あの少年なら髪型をいじれば多少それっぽく見える。あまり喋らなければバレることも無いだろう。
 
 
 
「やだ。セシル君にヴィル取られたくない。」

「……」

勝手にしてくれ。
つくづくそう思う。
 
人一倍独占欲が強いのは出会った時から丸分かりで、だからこそ
 
 
横目で今し方閉められた扉を眺める
 
 
「じゃあ、どうしたいの」

背中と腰に手を回す

あのカニパンについての提案を熱く語り始めた彼は気づいてすらいないんだ
この回した腕の意味も。


そして
その愛する彼が扉の外にいたことも。
 
 
 
 
 
 
 
あーあ。
どう言い訳するんだか。 
 
 


*前話次#
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あきゅろす。
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