Andante
ただいま
「ここまで来ればわかるか?」
「大丈夫!本当にありがとうな相葉……」
相葉は親切にも寮のエレベーターまで案内してくれた。
それなりの距離があったのに本当に申し訳ない。
相葉は気にするな、と言ってくれた。
「どうせ暇だったからな。
そんなことより、もう一人で出かけるなよ」
そう釘を刺すと、じゃあなと背を向けて今来た道へ引き替えしていった。
また湖へ行くのだろうか。
だとしたら本当に迷惑をかけてしまった。
「本当にありがとな!絶対にお礼するから!!」
俺の言葉に、相葉は背を向けたまま軽く手を上げて答えた。
後ろ姿までイケメンだ。ドラマでこんなシーンありそうだ。
お茶でも出すべきだったろうか、と今更考えつつエレベーターを上がり自室に駆け込む。
「……あ」
玄関に靴がない。
慧と行き違った……!?
いや、まだあの2人と話が終わってないのか……?
連絡手段がないので確認することもできない。
ダラダラと汗が伝う。
この場合どうするべきなんだろう。
「…………どこにいるかわからない、また迷う可能性も……」
一瞬でここにいるべきという結論がでた。
ああああああっ!
慧、探してくれてたらほんとすいません!
せめてもの償いに、慧がいつ帰ってきてもいいように部屋のクーラーをつける。
その後はひたすら部屋から玄関の前まで行ったりきたりの繰り返し。
慧が帰ってきて説教を始めるのはそれから15分後の事だった。
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