[携帯モード] [URL送信]

Andante
晩餐


掃除を始めてもうそろそろ一時間経つころ。
俺は慧といい感じに仲良くなった。


「なんでそっからそのあだ名になるんだよ!?」

「だからフィーリングなんだってば!おっきい感じのと強そうなの!
何回も説明してるけど慧って俺よりバカなの?」

「お前のバカさ加減なんて知るか!」


喧嘩してません本当に仲良くなったんです。
距離を縮めた結果、もう掃除を放棄して雑談って言うね。
慧なんて詰めかけの洋服ツッコミの時にこっちにぶん投げてくるし容赦ない。


「あだ名なんてみんなそんなもんだろ」

「…………お前の普通の基準はどこだ」


疲れたように慧がそう言った。
慧と俺の普通の基準は多いに違う。
まあ間違いなく他の人とも違うだろうけど。


「ダレてんなよ慧」

「誰のせいだゴラ」


部屋は片付かなかったが、この一時間で慧の性格はわかってきた。

…………うん。
俺慧大好きだぞ!

どんなにうざくってもちゃんと構ってくれる。
多分お兄ちゃんとか面倒見るようなポジションだ。
楽しい時間だったがその分慧はかなり衰弱してる。
そろそろ作業も終わりにしなきゃだな。全然進んでないけど。


「なあ、腹減らない?」

「よっし、飯食いに行くか!」


俺が慧に尋ねるとあっけなく話はまとまった。
きっとご飯も豪華なんだろうな。
楽しみすぎる!


「こう言う時ってカードキーだけで大丈夫か?」


鳳さんはカードキーがお金の代わりって言ってた気がするけど。


「それで平気。現金はここじゃ賭けぐらいにしか使わないから」


カードキー結構需要高いな。
カードで支払うって大人っぽくてなんかいいよね。
カードを持って少しワクワクしていると、先に部屋を出た慧から声がかかる。


「おいおせぇぞ錬」


慌てて玄関に向かうと、慧は既に靴を掃き終え、ドアを開けて俺を待っていた。


「っちょいたんま!行動早いなお前……」


俺は急いで靴を履いた。


「あ、そうだ。
お前、この部屋から出たら絶対俺から離れんなよ!」


俺がトントンと踵を入れていると、慧が怖い顔をして言ってきた。


「言われなくてもそのつもりだけど」


だれが好き好んで迷いに行くかよ。


「なんだ、お前にもそれぐらいの判断は出来るんだな」


ニヤニヤする慧。
よく意味はわからなかったけどなんとなく馬鹿にされた気配を感じる。


「ぶっ飛ばすっ」

「いっっっ!
こら、サッカー部が人に蹴り入れてんじゃねぇ!」


蹴ったり、怒鳴ったり。
学生特有のテンションでギャーギャー騒ぎながら、俺たちは食堂までの道のりを歩いた。


[*前へ][次へ#]

16/28ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!