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Andante
乱入3


「……ここが寮の北口だ」

「うっわー…………」


予想はしてたんだよ?
今までの内装からして寮もすごいんだろーなぁって。
けど予想以上だった。
時々テレビで見かけるような高級ホテルがそこにはあった。
旅行したときに俺んちが泊まるホテルよりもよっぽど高級なやつだ。


「すっごいでしょー!
でも中はもっとすんごいよー。
ちゃあんと部屋ごとに湯船までついてる上に!!ベランダまでついてまーす!」

「強えぇー!」


洗濯機は共同とか、お風呂は大浴場で裸の付き合いとか、寮のイメージが悉く打ち砕かれる。
ここに毎日住めるなんて、こんな贅沢許されるのだろうか……
俺はちょっと遠い目をして考えいた。


「ひょっとして一人部屋ですか?」


これだけ金がかかっているならありえそうだ。
同室の人に色々教えてもらえたらと思ってたから少し不安になって聞いてみると、菊岡さんはざんね〜ん、と肩をすくめた。


「一人部屋は高等部からなんだよねぇ。
しかも生徒会じゃなきゃなれないし」

「あっそうなんですね……ますますお金の使い所が……」


ポツリと言葉をこぼした俺に菊岡さんが違う違うと苦笑いした。


「一人部屋だと親が心配するからさあ。結構過保護なの多いからね、ここ」


疲れた顔でため息を吐く菊岡さん。
確かにお金持ちって子供に対してすごく神経質そうなイメージだ。
…………がんばってください!


「それじゃ、僕はここで」

「え?」

「ここからなら生徒会室の場所もわかるし」


本気で迷ってたんですか。
俺はてっきり心配して付いて来てくれてたのかと。
狼狽えていると、だいじょぶだよ、と俺の頭を優しくなでてくれた。

…………いやいやいやこの歳で頭なでられてもハズいだけですって!!

思ってても声に出せない俺。


「じゃあね!
……また学となんかあったら言って。力になるよ」

「わっ……」


後半は耳元で囁かれた。
こそばゆいからやめてほしい。
踵を返し歩いていく菊岡さんを俺は恨みがましい顔で見送った。
そして、再び歩き出した鳳さんの背中を慌てて追いかける。
入寮とはまた違う緊張感が俺を襲っていた。
隙があらば、即!話しかける…………!

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