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Andante
一日目3



「今年はジャンクフードが多いなあ」

「気になるのはそこかだけか!?
なんかもう色々とすごいぞ……」


ハンバーガー店に入ったらバーガーメニューが二桁近くあった上サイドメニューも充実していた。
制服も(何故か)男物女物があり、イヤカムや名札まで忠実の再現ぶり。
レジも本物が置いてあった。

……一体これは何店舗目だ。

続いて入ったドーナツ屋では接客にかなり力が入っていた。
何でも萌萌メイドーナツというお店らしい。

ちょっと凝視していただけなのに慧共々腕をホールドされてかなり強引に客にされた。
……この行列は超人工的だったのか。

ただ、並んでる間も退屈しないように、メイド服の人達がなにやら熱のこもった演劇を繰り広げていたのはすごく面白かった。


そして食事を終えて本格的に藤咲君を探しているところに射的という文字が目に入り、覗いてみたらガンシューティングだった。
普通のゲームセンターよりも大きな画面で、部屋全体に音が響き冷気が漂っていた。
ゲームプレイ中、画面(の裏)から本物のゾンビが出てくるというドッキリ付き。


「クオリティがやべえ……」

「そんなにか……?」


慧はガンシューティングの時は驚きで声をあげたものの、余韻も残さず今では平常モードだ。

何でそんなに普通のテンションを保っていられるのだろう。
俺なんてちょっと落ち着いてはMAXを超えを繰り返してるのに。


「まあいいや。……ねえ、結局藤咲君どうする?見つかる気しないんだけど」

「……むしろ見つかるとは毛頭も思ってなかった」

「は……?」

「だって探検するだけでも楽しいんだろ?
いいんだよ、そんなのは明日で。
今日の仕事は終わったんだ、楽しむぞ」

「そっか……そうだな!」


やっぱりせっかくのお祭りなんだし、楽しむことが優先だ!
なんて再び人混みの中を縫って歩く。


「あっ慧、クレープ食べようクレープ……」


派手な装飾の教室を指差して言う。

そして俺は幸か不幸かクレープ片手にそこから出て行く藤咲茜の長身を見つけたのであった。

……なんか俺っていつもこんなんばっかりな気がする。




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