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Andante
再会4


物音が聞こえたから、とか、特に明確な理由はない。
俺は唐突に目を覚ました。

くるまっていたはずのブランケットがいつの間にか普段俺の使っている布団に変わっていて、俺はすっかり眠ってしまったことを悟る。


「慧、起きてる?」

「……また起きたのか」


静寂にすらかき消えそうな声に、慧は閉じていた目を開け笑った。


「寝ないとまずいだろ」

「なんか知らないけど目が覚めちゃう」

「そりゃここで寝てるからだ」


慧がきっぱりと断じる。
確かにカーペットが厚く柔らかいとはいえ、リビングに直寝は辛かったかもしれない。


「でもリビングで雑魚寝って泊まりみたいでよくない?」

「会長いないから泊まりもへったくれもないけどな」


そもそもほんとの泊まりから帰ってきた奴が何を言うのだ、と慧がクスクス笑いながらいう。
それを見ると、なんだかまた睡魔が寄ってきたような、フワフワとした心地になる。


「眠いか?」

「……うん」

「よかった」


慧が、優しく微笑んだ。


「おやすみ」


温かで、どこか安心できる声。
帰ってきたのだと改めて実感できた。

俺はうっとりと微笑んだ。
意識を手放しながら言ったおやすみは慧に届いたのだろうか。

わからなかったが、俺はひどく満足して眠りについたのだった。

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