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■Devotedly (Aplil・T)
(※Sガンロワシナリオより妄想)


鬩ぎ合う葛藤は、自覚よりも心を縛っていたのだろうか。
何故、『自らの出自』などと口にしてしまったのかティエリア
自身戸惑ってはいた。

唐突ですらあったかもしれない吐露に、しかしそれを向けられた
相手は、追及するでも一笑に付するでもなくただ、受け止めるか
のような応えを返した。
──まるで、嘗て受け取った言葉のように。
お前は人間だ、と──何を、把握している訳でもないだろうに。

あれから、指折れるだけの歳月を重ねても尚、それが『ひと』と
して生きた時間と同等であろうとも未だ、自分には人間としての
恐らくは"当たり前"であろう行為に、思考に、追い付けてはいない。

同行者の監視と観察は本音であれ、それによって困らせるつもりも
気を遣わせるつもりもなかったのはまた事実なのだけれど、結果
頼ることになってしまったのは否めず、少しばかりの苦さを胸に
ティエリアは操縦桿を握り直した。





アロウズとの攻防戦の後、礼をと呼び戻されたカタロンの基地内で
紫の人影は一人立ち尽くしていた。
小さな手から贈られた花が、手の中で揺れる。
感謝と共に渡されたそれへ、辛うじて返せた同じ言葉を受け取り
駆けて行った、見知らぬ子供らの去った先を見詰めた。

「隅に置けねえなぁ」
「ロックオン、…見ていたのか」
「たまたまだって」

掛けられた軽い声に振り向けば、他意はないと肩を聳やかし笑う
ライルがティエリアの手の中を覗き込む。

「わざわざ摘んできたのかね」

そこに揶揄の色はなく、懐かしむような眼差しが花に注がれる。
それを横目で見遣り、同様に目線を下ろした。

取り立てて珍しくはないだろう花。けれど。


──感謝の気持ちを、かたちに。
感じた温かなものの正体、それは。

(…そうか)


「──すまない、トレミーに戻る前に少し、寄り道をしても
 いいだろうか」
「構わねえけど…珍しいな」

思い付くまま溢した言葉に、首を捻りながらも頷くライルへと、
穏やかなまでの心持ちでティエリアは笑みを浮かべた。


「…僕も、みんなに伝えたいと思って。
 でも、これでは足りないから」


片手に握られた小さな、素朴な花束。

贈りたい相手。
贈ってみたらいい、その言葉を反芻して。
──足りない、と思えるほどに、こんなにも自分には。

大切なひとたちが居るのだ。







 (It's white sincerity for you)



***************

4月期その@。

またしてもゲームねたすみません(苦笑)
Sガンロワのあれ一応ホワイトデーイベントだったので時季が
ちょっと今更感なんですけども、…いやアーデさん
健気すぎたというか2期本編内の時間軸を考えると
切なさ乱れ撃ちなんですよっていう(深読み体質)

ライルの言葉はアニュのあれこれ受けての言なのもある
んでしょうが、ちょっと兄貴み半端なかったので
憑依されてんじゃないのかと本気で思っ(自重)

あとアーデさんが花買い足したのライル見てたんでしょ
…っていう…兄貴が居たら絶対ハグしてるやつ…
弟何気に扱い良くてずるい(苦笑)




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