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('A`)はヒーローの息子のようです


あなたは興味を持った事があるだろうか、

お風呂の天井に。



あなたは触った事があるだろうか、

天井に付いている『蓋』に。




あなたは知っているだろうか、

それがヒーローの『通路』だということを……



('A`)はヒーローの息子のようです




***

『>>1
糞スレ乙』


('A`)「………………」


トントンとF5キーを数回押すと、煽られてキレたスレ主のレス。

('A`)「またひとつつまらないスレを潰してしまった…」


最近これだ!という面白いスレも見つからず、かといって2ちゃん以外にする事も無い無職童貞包茎ちんこ。
おまけに深夜2時とあっちゃ本屋もゲーセンも開いちゃいない時間だ。

まあニートの上に引きこもりですけどね。


('A`)「オナニーでもするべか…」


さっきまでキーボードを叩いていた右手をパンツに突っ込み、軽くムニムニ。
元からパンツスタイル(下着的な意味で)な俺はオナニーの準備も3秒で出来る。
暖房ガンガンの部屋で運動はちょいとキツい気もするが、俺のマイサンは既に戦闘体制だった。

さて、とっておきの幼女フォルダから今日の子猫ちゃんをパソコンの画面に呼び出し、いざ……


……コンコンコン…


( ゚A゚)「!!!!11」

心臓が痛い程飛び跳ねる――ついでにちんこも。
だが落ち着け、どうせノックしたのは………


('m`)「ドクオ、起きてるか」


……親父。

('A`)「……………」

('m`)「今日も寒いな」

('A`)「……お帰り」

('m`)「ああ、ただいま」


毎晩、こう。
毎晩帰って来ては、わざわざ俺の部屋に来て、話しかけてくる。
でも暫く話すだけ。
ただ部屋から出そうともせず、ただ淡々と………


('A`)「……お」

('m`)「ん?どした」

('A`)「お……つかれ、さん」


それは、…二重の意味を含んでいた。

仕事お疲れさん。
俺のためにわざわざ毎晩―――お疲れさん。

('A`)「…」

('m`)「……ああ」

('m`)「早く寝なさいよ。……おやすみ、ドクオ」





俺が引きこもり始めたのは3年前から。

大学受験落ちて、一年頑張ったけれどまた落ちて。
何もやる気が無くなった。

母ちゃんと親父は何も言わなかった。


('A`)(……………)


時々もんの凄く自分が馬鹿らしくなる事もある。
何で大学落っこっただけで引きこもってんだろ、
何で働けないんだろう、
何でこんな…親不孝。

めんどくさがりな性格も災いしたのかもしれない。元々そういう奴なのだ。
かといって、そんなへっぽこな理由で死ねないし、今更出ていく気も失せた。


('A`)(要するに、俺は引きこもニートの逸材とも言えるべき男)


馬鹿な息子でごめんなさい。






('A`)「………くさい」


くさい。くさいくさいくさい。何が?

俺だ。


('A`)「……風呂入るかなあ」


いくら引きこもりと言えども、これはないわ…
たまには風呂に入らないと、部屋がどうにかなっちまう。
母ちゃんが寝たのを確認して、いざ風呂場へと走る。
何しろパンツ一丁なので寒い寒い。

そっと風呂のドアを開けると
湯船にはなぜか蓋がしてあり、更にお湯がはってあった。


('A`)(……もしかして毎日はったままにしてくれてんのかな)


チャポ、となるべく音を立てない様湯船に入ると、ふーっと肩まで一気にお湯に浸かった。
自然に目に入った天井に、どこか懐かしい光景を思い出す。


('A`)「……あ」


ねじで止められた『蓋』…………もとい、


('A`)「『出入口』……か」


それは、ドクオ家では『出入口』になっていた。




あれは、いつだったっけ。
親父との風呂。


(*'∀`)「父ちゃんのせなかもじゃもじゃー!!」

( 'ー`)「ふっふっふ、強そうだろう」

(*'∀`)「父ちゃんのちんこでけー!!」

( 'ー`)「ふっふっふ、かっこいいだろう」

すげえはしゃいでた俺と、でかかった親父のちんこ、そして背中が思い浮かぶ。


(*'∀`)「父ちゃん強い!?」

( 'ー`)「ああ強いさ、なんてったって父ちゃんはヒーローだからね」

(*'∀`)「ヒーロー!?でもベルトもけんもないよー?
ヒーローと言えば、変身ベルトだかんな!


( 'ー`)「父ちゃんにはそんなもの必要無いさ、父ちゃんはねえ…」

( 'ー`)「あそこからビューンって飛んでいくのさ!!」


そうして親父が指差したのは…まあるい天井の『蓋』。


(*'兪)「…」

(*'∀`)「父ちゃんすげええええ!!!かっけえええ!!」

( 'ー`)「そうだろそうだろ、ここの町は父ちゃんが守ってるんだぞ!
ドクが寝てる間に悪い奴をぎっちょぎっちょに倒してるんだぞ!」

(*'∀`)「ずりー!!良いな良いなあ!父ちゃん!」




(*'A`)「…………」

あれからずっと信じてたっけ。
父ちゃんはヒーローだぜーって、友達に言いふらしたりもした。


(*'A`)「ドクオ、発進!とう!」


調子に乗って『出入口』にパンチしてみるが、まるで何も無し。


('A`)「まあ当たり前だけどね…」



俺は何を、期待してたんだろう。








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