少女 「私は海が好きだ だから海になりたい」 「私は空が好きだ だから空になりたい」 深夜寝つけずにぼんやりと見ていた掲示板に誰かが呟いた その小さな呟きは今この掲示板を見ている人にはなんとも思われずにすぐに消えていった けれど僕はそんな些細な呟きに何故だか興味を持った 僕はページをスクロールさせてその呟きをした張本人に接触を図った 「海や空が好きなの?」 どうせ返事はかえってこないだろう そう思っているとすぐに返事が返ってきた 「好き」 普通の人が見たのならそっけないと感じられるであろうその書き込み。しかし何故だか僕の心は満たされていった 「そうなんだ。」 さてこの続きは何を書こうか・・・そう考えているうちに再び何かが書き込まれた 「私は海が好き。私の大切な人が好きだから。私は空が好き。大切な人を見ている事ができるから。」 可愛らしい書き込みだなと思った 書き込んでいる子は高校生くらいの女の子だろうか?想像を膨らましながら僕は彼女に返信した 「そうなんだ。僕も海が好きだよ。」 するとものの2秒程でパソコンに文字が映し出された 「知ってるよ。大好きなパパ。」 僕はその言葉に釘付けになったまま泣いた もう枯れ果てたと思っていた涙は止まることを知らなかった 彼女は生まれ来ることもなく妻の腹の中で死んでいった僕の、娘だった 私は海が好きだ だから海になりたい 私は空が好きだ だから空になりたい ぱぱ、やっとあえたね [*前へ][次へ#] |