[携帯モード] [URL送信]
朝なんて来ない


「どうしたの、路(みち)…」



彼女は
暗闇に居た



学校の屋上
フェンスの向こう



フェンスは高く、僕と彼女の間にそびえ立っていた



屋上から見える街並みを見ていた彼女は僕の方をチラリと見て再び街に視線を戻した



「やっぱり神様は居なかったわ。貴方って本当に嘘つきね神山君」




嘘つき



「どう、して」




どうしてそんな事を言うんだ…君に何があったんだって言うんだ…?



「路…どうして何も言ってくれないんだ…」



「言ってるじゃない。神様は居ないって」



「…そんな事ない!神様は居るよ…!いつでも僕等を見守ってくれてる…」



路は、僕に体を向けた



強い風が吹いて
路の長い黒髪が綺麗に靡いた




「…じゃあ、神様は空の上から私達を見守っているの?本当に?」



「そうさ…!神様はいつでも…「見守っているだけ」見守ってい…」



そう
神は
何もしてくれない



でも
それでも



「…確かに、確かに存在しているんだ…路…信じてくれ…」




路は



そっと微笑んだ




「…そうね。そうなのかもしれない。それに私…神山君を信じているもの」



僕は安堵に胸をなで下ろし、ゆっくりとフェンスに近寄っていった




「…よかった…ありがとう、路…」




「でもね、神山君。」



もう少しでフェンスにたどり着く




そんな時に路は言った




「私、自分の目で見たものしか信じないの」



満遍の笑みで





「だから、自分の目で確かめてくるわね」




路の体は
ふわりと宙に舞った




神の遣いのようだった




羽根を毟られた天使











ぐしゃり
















路は神に会えただろうか





 

[*前へ][次へ#]

第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!