[携帯モード] [URL送信]
ファミレス



「おい青、ファミレス行こうぜ」



耳障りな音がして急いで携帯を開くと、それは旧友の俊輔からの電話だった



そして俊輔は電話越しに開口早々にそう言った



本当にいきなりだったが俊輔の性格を分かっている僕は久しぶりの旧友からの電話にすぐに




「行く行く、じゃ30分後に」




とだけ答えて携帯を閉じた





ーーーーーーーーーーー






「よう俊輔」




「よっ青!」




30分後
ファミレスの前で
待ち合わせた僕達



軽い挨拶をした僕達はファミレスの前で少しだけ他愛ない話をした



俊輔は昔と全く変わっていなくて、とても懐かしくなった




「とりあえず中入ろうぜ」




「うん」




少々の無駄話の後、僕は俊輔に促されファミレスのドアを開けた





「いらっしゃいませー!」




ドアを開け、一歩足を踏み入れたと同時に可愛らしい店員の声



何名様ですか?
と言う問いに指をピースサインにして答えると店員はなんとも可愛らしい笑顔で席を案内してくれた



案内された席に腰を下ろす




すると何故か



つんと鼻をつく臭い



「…?」




何だ、この臭い…




不思議に思いながらも
僕はメニューを見るのも忘れて俊輔と昔話に花を咲かせていた




しばらくすると店員が隣の席に料理を運んできた




その時




再び鼻をつく
あの臭いが…




まただ…



臭いの原因を確かめようと僕は隣の席をチラリと盗み見た




僕はすぐに目を見開いた



「な、んだ…あれ…」



笑顔の店員がテーブルの上に置いたステーキ皿の上には










人間の腕が乗っていた










肘から下の部分からホカホカと湯気が立ち上り、血に濡れた腕の上には目玉らしきものが乗っていた





僕は胃液が上に押し寄せてくる感覚を覚え慌てて口を抑え俯いた





何だあれは
何だあれは
何だあれは!!!!




まさか、そんな筈ない…!
に、人間の腕や目玉が…いや、嘘だ…まさか、まさか…



人間の腕な訳…




僕はそう思い吐き気を堪えながら再び隣の席を見た




「っ!!!」




2人組みの女性がその腕を美味しそうに食べていた




腕にナイフを入れる度に
どろりと赤黒い血が溢れた




指を美味しそうに食べる女性




僕の頭は既に
パニックに陥っていた



やっぱりどう
見てもあれは人間だ…



おかしい
おかしい
おかしい



早く俊輔をつれてここから逃げなければ…



僕がそう思い
立ち上がろうとした時




俊輔が口を開いた




「…おいおい、青
お前大丈夫かぁ?真っ青だぜ〜?」




「だっ、大丈夫ってお前…」




こんな状況で何を言ってるんだ…!




まさか、まだ気がついてないのか…?



困惑する僕に気がつく事なく俊輔は続けた




「たっくよ〜、そんなんじゃ飯食えねえぜ」




だっ、だから
今はそんな場合じゃ…っ




思わず叫びそうになった時




僕は俊輔が開いたメニューに釘付けになった











もも肉のからあげ



目玉のスープ



腕のステーキ



心臓の刺身








まるで普通の
ファミレスの様に



写真つきで
そんな物が淡々と載っていた




僕は思考が追いつかなくなった




「どれにすっかな〜」



なんだよ、これ




「今日は金もあるし…店員さ〜ん!」



なんなんだよ




「はい!ご注文は?」




僕なのか?




「え〜っと、とりあえず指スティックともも肉のからあげ、あと血液ジュース」




僕が




「はい!畏まりました!」




僕が、おかしいのか?




「青は何を食べるんだ?」




僕が狂っていたのか…?








「…腕の、ステーキを…」







「はい畏まりました!それでは繰り返させていただきます」








僕は店員が繰り返すメニューを聞きながら店の中を見回した



全員が美味しそうに人肉を頬張っていた






嗚呼
そうか






やっぱり僕が
狂っていたのか…






そうして僕の脳はこれが当たり前なのだと認識していく












(非日常は日常に変わるのだ)












[*前へ][次へ#]

あきゅろす。
無料HPエムペ!