森の奥 真夏の太陽が僕をギラギラと照り付ける 部活が終わったばかりの僕はまだ汗がひかない体を引きずり自宅に戻ろうとしていた そんな時、制服のポケットにいれていた携帯が鳴った 知らない番号だ 僕は不思議に思いながら通話ボタンを押した 「もしもし…?」 「やあ、こんにちは」 知らない声だ まだ声がわりをしていない、僕と同じくらいの男の子だろうか 「君は…?」 「ねえ!君の学校の近くの森に入った事はあるかい?」 僕の質問に答える様子はなく、彼は淡々と話を続ける 「…君の名前は?」 少し苛立った僕は彼の質問には答えず、もう一度名前を尋ねる しかし彼は僕を無視して話を続け始めた 「その森の奥にね、大きな館があるんだ!僕、そこに閉じ込められているんだ…凄く困っているから来て欲しいんだ!」 閉じ込められている? 「ね?お願いだよ!ああ、ほら…もう時間だ」 つらつらと話続けた少年の言葉が突然プツリと切れた いやいやいやいや… ちょっと待ってくれよ… 閉じ込められてるって、そんなのってあるか…?? いたずら…? … … ああ、もう!! いたずらじゃなくて、こいつが死んだなんて事になったら後味悪いじゃないか…! たく… 仕方ない… 「…ほ、本当にあった…」 まさか自分の学校裏にこんな大きな館があるなんて、夢にも思わなかった やっぱりいたずらじゃなかったのか…? だったら早く開けてやらないと…! 僕は館の扉に手をかけた ギィイィイと、物凄い音が森の中に響いた 「なんだよ…簡単に開くじゃないか」 もしかして、ひくんじゃなくてずっと押して開けようとしてたんじゃないか…? アホなやつ… ぷっと笑いながら館に足を踏み入れた その時 「ああ、来てくれたんだね!」 「うわ!!」 突然背後から聞こえた声に驚いて振り返った 瞬間 僕の胸に鋭い痛みが走った 「なっ…ぁ…」 僕の目の前には、はやり同い年くらいの少年 その少年は自分の手を僕の胸に刺していた 「本当に来てくれるなんて思わなかった…」 少年はさらに手を進めていく 「げぼ…っ」 僕の口から鮮血が溢れる 「ずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっと…!ずっと探していたんだ…僕の身代わりになってくれる人を」 「あ…ぁあ…」 痛い 痛い 痛い 「これでやっと…」 外にでられる その言葉と同時にその腕は僕の背中まで貫通した 「げぇ…っ」 そして僕は意識を失った 「う…」 頬に冷たい感覚 僕はゆっくり目を開けた そこは館の中だった 驚いて飛び起き胸を触るが傷は一つもない ゆ、夢だったのか… ほっとしたと同時にこの館にとどまっている事に恐怖を感じ僕は急いで扉に手をかけた 「えっ…なんで…なんで!なんで開かないんだよ…!!!!」 扉が開かない さっきはあんなに簡単に開いたのに…!なんで…! カシャン その時 背後に何かが落ちる音がした 「携帯…電話…?」 それは僕の物ではなかった 画面を見ると発信履歴が映しだされている そこには、何十件、何百件の履歴が写っていた… その中の一番新しい履歴、それは僕の電話番号だった 僕は すべてを理解した 身代わりを探さなければ ここからは出られないのだ 僕は 僕は 僕は ぼく は ----------------------- セレさんよりリクエストして頂いた小説でした! 始めてリクエストを貰っての小説だったので、なかなか難しく執筆が遅れてしまいました…! 勝手に創作しまくってしまいましたがよかったら見てやって下さい(*^ ^*) 2013 01 09 kasumi [*前へ] |