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5月4日の変

「翼、お腹空いた」
「うわっ!」


4日の夜になると、予告通り雲雀はまた家にやってきた。
インターホンを鳴らさないのも、突然俺の背後に立ってたのも同じだ。

いきなり首ロック付きでのしかかられて、片手にお玉を持ったまま、台所で硬直&悲鳴をあげた。

一見細身に見える雲雀だけど、筋肉ついてる分がっちりしてるし、そこはやはり男だ。

体重のせられるとハンパなく重い。まさにおんぶお化け。



「重い、重いよ!どいてー!」
「鍛え方が足りないんじゃない?襲われたらどうする気なのさ」

「今まさに襲われてるから、ピンチだから!」
「ワオ、僕が相手じゃ、もう終わりだね」

「勝手に襲って、勝手に終わるなー!」

持ってたお玉をくるりと一回転、雲雀の頭を一撃したら、ようやくおんぶお化けは離れてくれた。
さすがに馬鹿馬鹿しくなったんだろう。


でも良かった、持ってたのがお玉で。
包丁だったら流血の大惨事になるとこだった。




今日のお風呂は、入浴剤で白く濁って、いい香りがする。
お湯に首まで浸って暖まる。でも・・深刻な状態に、実は心の中は冷や冷やだ。

手をうーんと伸ばし、視線を近くへやると、二つ白い、胸のふくらみが目に映る。
・・・最近、育ってきちゃったからわりと大きい。

父さん特製のサポーターはたぶん、ちゃんと隠してくれるだろうけど、やっぱり四六時中
押さえておくと苦しいなあ、なんて緊張感の欠片もないことを思いながら、まだ動悸がおさまらない心臓を押さえる。



うー、ただでさえ絶叫マシンとか、ジェットコースターとかスリルものは苦手な部類なんだぞ。
これも、体質かな。


とにかく。雲雀のアレは心臓に悪い。
本人が、面白がってやってるから始末に悪いし。

やっぱりこれは注意すべき、というかこれこそ改善を要求すべきじゃないだろうか?

学校でも自宅でも容赦なく、雲雀に背後をとられる毎日は大問題だ。


一応これでも武術をかじってるから、気配を覚るのは得意だ。
意識していれば、背後の気配くらいいくらでも読める。

でも、日常ではてんで気を抜きまくり・・というか、戦いには無縁の心理状態だから、よほど自分の気が
逆立っていない限り、他人の気配に無頓着になってしまう。

つまりこれは私が、戦い向きの人間じゃないということを示している。


もう、自分の性分なんだからそれは仕方ない。
体調優先。
今日から基本、元の身体のままで-----つまり女の姿だ。

もう、日常をこの姿で過ごすことは変えられない。

とっさの判断で男になることは仕方ないけれど、一番気付かれやすい雲雀を、なんとか私の背後、
もといプライベート空間から少しでも遠ざける努力をしないといけない。


(言うのは簡単、実行は・・超むずかしそうだけど)


雲雀は昨日の言葉通り、先に風呂からでて既にリビングでくつろいでる。

ご飯はもう二人で食べた後だから、紅茶とか勝手に入れて飲んでる頃だろう。
勝手知ったる幼馴染みの家ということで、今更遠慮も何も無い。

それが今までは、お互いに当たり前だった。



雲雀にもらったチェーンはいつも首に下げてる。ふと、濡れた手ですくいあげてみた。

プラチナだから、銀製品みたいに曇ったりしない。きらきらと銀色に光っていて、本当に綺麗だ。

勾玉と一緒に父さんにもらった銀色の小筒が、くるくると先端で回った。
(筒が防水性なのはナイスだよ父さん!)


(この薬は、咄嗟の発作用らしいけど・・できれば使わないのがベストだよね)

確か服用説明書もあったから後で読んでおこう、と、とりとめなく考えていたら、脱衣室のドアが開いた音がした。
曇りガラスの向こうに、人影が映る。



「翼。バスタオル、ソファのとこに置きっぱなしだったよ」

「わ、悪い!そこに置いておいて」



きた!心臓に悪い事態きた!
ばっくばっくと音をたてる胸をお湯の中で抑えながら、事態の深刻さをしみじみ痛感していた。

ああ、本当に今ほど、雲雀の幼馴染みポジションが辛いと思った事は無い。

確かに気持ちは、このままでいたいよ。
でも、このままじゃいけないんだ。
もし男の姿で、今みたいな負荷がかかったら、いつ倒れてもおかしくない。


(もうっ・・少しくらい雲雀にもこのしんどさを分けてやりたい!)

本当にやったら、容赦なく殴られそうだけど。




ため息つきながら、もう出ようと脱衣所をそろりと覗いた。

バスタオル発見。
ええと、眼鏡眼鏡・・・(お湯で金属が錆びるから、風呂場では外してる)


「・・・無い」

まただ。雲雀に決まってる。
さっきタオルを置いた時、持っていったんだろう。
隙をみせるとすぐこれだ。

いじめって程じゃないけど、不便。不便なんだ、世界がぼやけるから。


ふかくふかく、息を吐いた。ついでに、軽く握り拳。
いや、暴力じゃなくって。
これは決意表明。
今夜こそ隙をみて、勇気をもってこの状態を打開しよう!

このままでは身体を大事にするどころか、心臓悪化の一途へ、思いっきり逆走してる状態だ。



*  *  *  *  *


家の中だから迷ったり躓いたりはしないけど、ゆっくりゆっくりな足取りで雲雀が待ちかまえてるだろう、
リビングに向かった。そろっとドアを開けて中を覗く。

---ああ、やっぱり。(がくり)



ローソファにいた雲雀が、こっちをふり向いた。


「何もたもたしてるのさ、翼」

「遅くなったのは、誰かさんが俺の眼鏡を隠したせいですー」


ぼそっと文句をこぼす。
頭からタオルをかぶってたし、小さい声だから聞こえないと思ったら、地獄耳の幼馴染みはしっかりキャッチしたらしい。


「どうせもう寝るだけだから必要無いよ。持ってきてあげたことに感謝して」



雲雀の片手にあるのはドライヤーだ。
いつもの無言の圧力に負けて、ソファのすぐ前、床のラグマットの上に直接ぺたりと座りこむ。

ソファに座った雲雀は一段高いとこにいるから、その長い両足で囲まれる形になる。

額にかかった濡れた前髪が、雲雀にふわっとかき上げられた。

私より一回り大きいその掌は、意外と暖かい。

触れることに慣れた手つきで、濡れた髪が手ぐしですかれる。



「終わるまで、大人しくね。動いたら・・咬むよ」



この格好だと背中にある雲雀の顔は見えないけど、声でわかる。

かなり、ご機嫌みたいだ。
・・・久々だから?

雲雀は、こうして風呂上がりの私の髪を乾かすのが妙に、お気に入りなのだ。



「いつも思うんだけどさ、雲雀・・」
「なに」
「俺のこの格好って、風呂上がりの犬みたい」


ほら、よくテレビで見るじゃない。フサフサの犬が、トリミングしてくれるお姉さんに乾かしてもらって、
気持ちよさそうにしてる奴。


「それじゃあ、ご主人様は僕だね。良かったね、飼い主が優しくて」

「優しいなんて自分で言う人は、きっと正体逆だよ」


途端に、ブワワっと熱風が耳の近くにきて慌ててのけぞったら、耳元でくつくつと笑う声。

・・・SかMかの二択なら、雲雀は紛れもなく前者属性だ。

このさい、本人の意見は無視。幼馴染みとしてそこは譲れない一線だ!


「動物愛護団体にDVで訴えてやる!」
「DVは人間しか適用じゃないよ。動物虐待は普通、器物損壊扱いだから」


つまりモノ扱いだね、と鼻で笑われた。(悔しい!)

雲雀には、口で叶う気がしない。
口以外でも---大抵叶わないけど。


ちなみに。この状態も、背後とられてるよね。
まんまだよね。(泣)

確か最初は「自分で乾かすからいいよ!」って抵抗したような記憶があるんだけど、
「僕に逆らうなんていい度胸してるね」って雲雀に凄まれて、最終的に根負けしたんだっけ。

この力関係、まさにペットとご主人様(それも凶悪)の関係じゃない?



*  *  *  *  *


久しぶりのせいか、ドライヤーを当てて髪を乾かしはじめても翼は最初、落ち着かなかった。

別に、かまわないけどね。背後から囲ったこの格好で、逃がすつもりは毛頭ないから。


「雲雀ーもう、俺飽きた」

床にぺたりと足を曲げて座っていたそれを、体育座りにしてもぞもぞ動く。

結構、翼は飽きっぽい。まあ確かに今は、何もすることなくて暇だろうけど。

「まだ全然乾いてないからダメだよ」

だって、急いだら僕がゆっくり楽しめないじゃない。
だから、ドライヤーも「弱」の温度で充分だった。

熱い風じゃ髪が痛むし、指先で翼の髪をとかしながら、段々、ふさふさになっていくこの感触は
暖かい風でちょうど良かった。



「あっちの部屋に、父さんが後で開けろって言ってた荷物があるんだ」

「もう少しだから。荷物に足は生えて無いから逃げないよ」


僕は、だんだん乾いてきた翼の髪を名残おしく手ですいていく。

さらさらなのに、僕の皮膚に吸い付くような艶がある茶がかった髪。
梳くたびに、するりと指の隙間から逃げていく。

翼の性格みたいだ。捕まえたかと思ったら、逃げていく------



「父さんが、雲雀にも何か作ってくれたって言ってたよ。何だろーね」

「・・小父さん、つくづくモノ作りが好きだね」


うん、だんだん乾いてきた。
温風に煽られた髪から、シャンプーの匂いがした。柑橘系みたいな香りに惹かれるものがあって、
鼻を目の前のつむじにくっつけたら、翼が「何やってんの、雲雀こそ犬みたい」なんて言って笑った。



「同じシャンプー使ったはずなのに、ぜんぜん匂いが違うね」

ぴくり、と僕の腕の中で翼が、反応した気がした。



「雲雀・・人類どころか麻薬探知犬も、超えた?」
「僕は優しいご主人様だからね。ささいな事にも、気が付くのさ」



本当にいい匂いがするんだから、仕方ない。

どうにも離れがたくて、翼の前髪を手でかきあげたまま、髪に顔を埋めたままの姿勢で香りを堪能していた。

本当に、どうしてだろう。
胸の奥が疼くような、鈍く痛むような、この気持ち。


既にほとんど、髪は乾いてしまってる。
流石に、もう翼は大人しくしててくれないだろうから、折角の僕の楽しみもこれで終わりだろう。



「あのさ・・雲雀?」
「何」


肩越しにふり向いた翼が、上目遣いでじっと僕を見つめていた。

眼鏡が無いから、その瞳が何の障害もなくそのままで僕の目に焼き付く。

視力が弱いくせに、翼のそれは何もかも見透すような心に染みこむような不思議な瞳だ。


子供の頃から、僕は他の奴に翼を見られるのが嫌で、運悪く見惚れた奴は、後で咬み殺してまわってた。

翼が眼鏡をかけるようになってからその回数はぐっと減ったけどね。


でも目は実際、翼の一部にすぎないから、本当は丸ごと全部、僕以外の誰にも見せたくないのが本音だった。

いつも気が付けば君は傍にいて、翼が僕を見るように僕も翼を見ていた。

それが、息をするように自然な日々。




翼は、身体もぐるりと動かして僕と向き合った。

今度からはね、と指を1本立てる仕草は子供っぽいくせに。


「俺・・中学に上がったんだし、少しは大人になろうと思う。
だから、雲雀もそれにつきあって。いきなり家に侵入したり、俺を後ろから脅かしたりしないでね」


言い出した事は、全然可愛くなかった。
・・・何、それ。



「・・唐突だね」

「違うよ。俺なりによく考えて言ってるんだ。雲雀は怒るかもとか、迷ったりもしたけど、やっぱり言うことにした」



僕が微かな怒気を滲ませても、翼はちょっと眉をしかめただけで真っ直ぐに見つめていくる。

僕と違う意味で、けして折れない強い瞳。



「どうして急に、そんな事考えたの」
「この前、ちょっと父さんと話してたら色々考えることがあったから」

「幼馴染みの僕でも、勝手に家に泊めちゃ駄目だとか言われた?」


中学生になったばかりの翼を何ヶ月も一人きりで留守番させておく、風見の小父さんがそもそも
非常識だと思うけどね僕は。



「そういう事は言われてないよ。
とりあえず、アポなし、インターホン無しでいきなりお宅訪問するのだけは止めようよ。

その気になれば学校でも顔は合わすし、ケータイだってあるし。
でも・・そういえば最近は変に急に来ること多くなったね。なんで?」


「・・・連絡とインターホン、ね。してあげてもいいよ」

「うー、偉そうな態度だなあ。でも良かった、わかってくれて。約束だよ、雲雀」


何故という問いは意識してはぐらかした。
口には出したくないし、出すつもりもさらさらない。


翼は僕と同じ並中に通うようになったけど、当然同じクラスじゃないし、

実際行動範囲だって違うから、学校で会えることは実はほとんど無かった。


おまけに今のところ帰宅部だから、授業の後さっさと帰ってしまうし、僕は風紀の仕事があるから
帰る時間はまちまちだ。

何となくいらいらして、急に翼の顔を見たくなることが、増えてしまった。

でも、同じ中学なら会う時間が多くなると考えていた自分が甘かったなんて、格好悪くて言えるわけない。



「でもそういうとこ、きちんとしてくれたら問題ないよ。また昨日みたいに、出かけようね。
雲雀と一緒だと、何をしても楽しいから」



本当に楽しそうに微笑んで立ち上がった翼は、テーブルに置いておいた眼鏡を

目敏く見つけてさっさとかけると、隣の部屋に入っていった。

たぶん、小父さんからの荷物を整理するつもりなんだろう。



一方の僕は、手で顔を覆ったまま、もう必要なくなったドライヤーを膝にのせたまま俯くしかなかった。

-----ふいうちで、平気な顔で恥ずかしい事を言う、君の、せいだ。


耳とか頬とか、やたらと熱い。
こんなの・・僕らしくなくて、困るんだよ。



*  *  *  *  *


風見の小父さんの荷物は、やたら大きな箱が一つ。

僕が部屋を覗いた時は、箱を開けた翼が、色々なものをそこから畳の上にだして並べていた。


「あ、雲雀!あったよ、これ」

僕にむかって挙げた手の中には、革製のカバーで覆われた細長い箱状のもの。


「『雲雀君へ』って書いてあるよ。へえ、何かな〜」
「普通、そういうのって本人にそのまま渡さない?」



ナチュラルに僕宛の荷物を開けようとしてる翼に釘をさすと、開けかけたそれをそろりと
僕に差し出した。

うん、素直にそうすればいいんだよ。

持ち上げたそれは、随分と重い。
横から興味津々で覗き込んでる翼の視線を感じながら、慎重に開けてみる。



中から出てきたのは、1対のトンファーだ。

「あれ・・でも、雲雀ってもうそれと同じようなの、持ってたよね?」

「うん。これは多分スペアだよ。小父さんがこの前、『新装備付けたのあげようか』って言ってたから」



翼が触ってもいい?と聴くから頷くと、早速1本持ってすぐ「重っ!」と叫んでいた。


「そんなに細い腕じゃ、この重さを振るのは無理だよ」



僕は翼が持ってるのとは別の1本を軽く振ってみた。

シャキンシャキン

心地良い音と同時に伸びたトンファーに、グリップをすかさず効かせると、無数の棘が飛び出してきた。

なかなか面白い仕込みだ。
風見の小父さんは、科学者から武器屋に転向した方が儲かるんじゃないかと時々、思う。



「うん、良さそうだね。咬み殺しがいがありそうだ」

「とても喜んでるところ、水をさすようで悪いんだけどさ・・俺は、親が殺しの片棒担いじゃうん
じゃないかとツッコミたくてたまらないよ、雲雀」

「明日はちょうど僕の誕生日だしね。手頃な群れがいそうな場所に出かけようか」

「早速、試す気満々だね・・・そんな血生臭い誕生日、聞いたことないよ。ちなみにそれなら俺、
ケンカはパスだからね」



ぷいと背中をむけた翼は、またガサゴソと箱の整理をはじめる。

君の喧嘩嫌いは、中学に上がっても変わらないみたいだね。


僕の傍にいることが多い翼は、否応なく今までも色々な奴等にからまれてきた。

僕がいればもちろん蹴散らすけど、そういった腐った奴に限って、群れたあげくに翼が
一人の時を狙う闇討ちをすることが多かった。


でも、僕は今まで一度も、翼が負けるのを見たことが無い。

いきなり襲われて背中合わせで戦ったこともあるけど、振り返るといつも倒れる敵を足下に、
君はしゃんと背を伸ばして立っていて、「俺は大丈夫だよ」って口元だけで笑っていた。


翼の噂が、素行の悪い奴等の間に広まることが無かったのは
「女みたいな優男」に瞬殺されたのを恥と思う奴がほとんどだった事と、
一緒にいる僕の行いが数倍目立っていたのが一因だろう。


まあ翼に喧嘩をふっかけた命知らずは、後で僕が念入りに咬み殺して
遠方まで叩き出す事にしているから、それも当然かもしれない。



「・・残念だね」



僕が一片の不安もなく背中を預けられる、唯一。

でも背中合わせの僕らは、互いに違う場所を見ている事にも、きっと気付いている。



翼が、固い紐でしばった袋に悪戦苦闘してるのを見てた僕は暇だった。

でも一人で寝にいくのも、つまらないから、傍から一
つ、手にとって眺めていた。


妙に可愛い花柄の紙袋。

袋の外側には、手書きらしいカードがクリップで留めてある。


『翼へ。 頑張れよ!  〜父より』


・・・風見の小父さんって、科学者なのに丸文字なんだ。

(頭がすごくいいって僕の親から聞いたことがあるけど、僕の印象はまるっきり逆だ)




「ねえ・・これ小父さんから君に、『頑張れ』ってメッセージ付き」

「へえ・・・何だろ、って、何平然と俺宛の荷物、開けてるんだ!?」



さっきの君も、僕宛のを開けようとしただろ?

君と僕が違うところは、僕の場合相手が抗議しようが、さっさと実行するところだ。

遠慮なくバリバリと袋を開けはじめた僕を、翼が慌てて近づいて止めるけどもう遅い。

柔らかい感触で妙にカラフルなそれを、僕は袋からひっぱり出した。


「・・・・」

「・・・・」

僕らの間に、痛い沈黙が流れていた。




・・ワオ。
きっと僕、今眉間に皺が寄ってるね、絶対。

僕はね・・翼。『こんなモノ』を鷲掴みにしたの、生まれて初めてだよ?



「ねえ、翼。これで・・・何を頑張るの?」



ぴらぴらと、手にもったものを蒼白になってる翼の前で振る。

人間って結構冷静になれるんだ。
・・・とても、怒ってる時はね。


僕の手にぶら下がってるのは、女ものの下着。
花柄のブラジャーと揃いのパンティだった。





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