敵か味方か _ 悔しい 。 《 皆には、見えんのですか ? こんなに隅っこで小さくなって震えてる朱里の姿が 。 皆には、聞こえませんか ? 必死に助けを求めてる、朱里の心の叫びが !! 私は、翔子先輩の涙よりも、朱里の涙を信じたい 。 こんなにも、壊れそうになってる朱里が流す涙を信じたい !! 》 この声が、叫びが 、一人でもたくさんの人に届いてほしい 。 《 皆は、誰かに傷付けられる痛みを知ってますか ? 誰かに傷付けられる苦しみを知ってますか ? 誰かに傷付けられる痛みや苦しみを知っとる人間は、誰かを傷付けようとはせんのですよ 。 それに …… 。》 跡部先輩が持ってるカッターを奪った 。 _ シュッ !! 『 双葉っ … !! 』 蔵先輩の声が聞こえた 。 腕、切ったからやろか 。 そんなんどうでもええわ 。 朱里の方が、何倍も何十倍も痛かったんや 。 《 傷は自分でも付けられるんですよ 。 こんな危ないもん、人に向けたらあきませんよ ?》 カッターの刃をしまって跡部先輩に握らせた 。 《 午後の練習は、休みます 。 こんな状態の朱里は見ていられないので 。 …… 失礼します 。》 朱里を連れて部屋から出た 。 最後に見えた皆の顔は、迷いで揺れていた … 気がした 。 [*前へ] [戻る] |