戸惑いながらも、きっとその手を離せない


「りょおー!」


凉がぽんっと軽く俺の背中を押した。


「部活帰り?」
「おう。てめえは遊んでたのか?」
「ん?本屋と雑貨屋さんに長時間いた」
「遊んでるじゃねぇかよ」


ぺし、と亮は凉の頭を叩いた。


「インテリアデザイナーになりたいって、亮ちゃんは知ってるくせに」


凉はぶーと口を尖らせて言った。


「あー、はいはい。そうでした」
「む!ちょっと!私だって努力してんだからね!」
「おーおー、知ってる知ってる」
「だあ!その言い方ムカつくー!」


ぎゃあああと叫ぶ凉を放っておいて、亮はそのまま歩いていた。
ふと凉は「部活している奴を横目に何やってんだ」みたいな雰囲気を感じた。
普段の亮なら思わないはずなのに。


「亮、怒ってる」
「あ?」
「怒ってるよ。何かあった?」
「…………少ししんどいだけだ。お前には関係ねぇ」
「…そか」


凉は黙って亮の手を握った。


「…おい」
「冷えてる」
「…」
「私の手の体温分けてあげるよ」


にっこりと笑う凉。
亮は焦りながら「離せ」と言った。けれど、


戸惑いながらも、きっとその手を離せない
(凉の気楽さに妬んでしまった)「激ダサだよな、俺って」「ん?」





title 揺らぎ


あきゅろす。
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