きみの淋しさが嬉しい


家から大学までは近いが、親に頼み倒して、アパートに一人暮らしをさせてもらえることになった。
理由は、親が居るとそれに甘えてしまうことぐらい。


「凉」
「亮、いらっしゃ…」


勝手に入って来たと思ったら抱き締めてきたこいつは、宍戸亮。付き合って3年目となる、私の彼氏だ。


「りょ、亮さーん?どしたー?お前らしくないぞー?」
「…るせーな。最近会わなかっただろ」
「あぁ」


私が家族と家電やら雑貨品やら買いに行ったり荷物をまとめたりしていたから、数週間まともに亮に会わなかった。
やっと落ち着いたので、昨日家に誘ったのだが。


「淋しかったんだ?」


ピクッと亮が反応した。


「ち、違うって!」
「だってこんなことするなんて付き合ってから初めてだもん」
「…く…っ」


亮は黙った。
私はクスクスと笑った。


「お昼まだだよね?何か作るよ」
「…おー」



きみの淋しさが嬉しい




title クロエ


あきゅろす。
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