全て投げ出して逃げてしまいたい(切)
「凉、はよ」
「え、あ、お、おはよっ」
いつものように挨拶をするが、今日の凉は挙動不審。
「どうしたんだよ」
「べ、別にっ」
「別にって言う行動でもないって」
「なんでもないの!大丈夫なの!」
部活
「ドリンク持って来たよー」
「あ、ありがとうございます」
「ありがとよ」
長太郎と俺は凉が持って来たドリンクを取った。
「凉先輩」
「うん?」
長太郎が凉に話しかける。少し苛ついたが、部活の話だと思ってドリンクを飲んだ。
凉が顔を赤くしていたが、見てみぬフリをした。
数日、凉が避けるようになって長太郎との秘密話が増えている。
「忍足、知らないか?」
「知らんわ。自分で聞いたらええやろ。宍戸らしくない」
「う…」
なんだか予感がするのだ。
壊れてしまいそうな、緊張感がある。肺は圧迫され、心はさあーと冷えていく。
「恐いんか」
「…なんだかわからねぇけどな」
俺はため息をついた。
「知らないままにするのもまた手だと思うか?」
「ホンマに宍戸らしくないわ」
全て投げ出して逃げてしまいたい
(それぐらい、真実を知るのが恐い)
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