その出会いが必然でも偶然でも
「亮ー、こっちー」
「わかってるって」
今日は休日。ショッピングモールも人がたくさんいる。
凉は幼なじみの亮を誘って服を見に行く約束をしていた。はたからみれば恋人同士。けど、本人たちは違う。大学に進学した今でも、凉は亮に告白出来ないでいる。
「私はブーツ見たいなぁ」
「俺は帽子、かな」
お互いの欲しい物を見て、購入し、しばらく歩いた。
「そのとき跡部がよ」
「あ!もしかして三枝木紗羅ちゃんのお姉さん!?」
「「え?」」
亮と凉は振り向いた。
同じ年頃の女の子が2人いた。
「やっぱりー!」
「あ、あたしら、中等部の時に同じクラスだったんですよー」
「は、はあ…」
「紗羅ちゃん彼氏居ましたよー?凄くラブラブで!」
「はぁ…」
(彼氏居るのは知ってたけどなぁ)
などと思っていたら、隣いた幼なじみが居ない。
「は!?あいつ居ない!?」
「あー、多分トイレですよ」
「それより、あの人、テニス部のレギュラーだったんですよね!?どういう関係ですか!?」
「どうって、ただの幼なじみだよ」
すると女の子たちはお決まりのように「え〜!?」「嘘ー!?」と言っていた。
「あ」
その女子二人の少し後ろに幼なじみがいた。
「あ、そろそろ私たち失礼しますね!」
「姉妹仲良くしてくださいねー♪」
まさに嵐が過ぎたようだった。
「疲れた…」
「お疲れさん」
「バカ亮ー。逃げたな」
「おー。あ、昼飯どうする?マックにするかー」
「ちょっと!マックはいいけど!ああ!待って!」
すたすたと歩く亮に追いつこうと、凉は走った。
「なぁ、凉」
追い付いて、亮の横で歩いていたら、自分の呼ぶ声が聞こえた。
「何?」
「お前は俺のことどう思ってるんだよ?」
「は…?いや、そういう亮こそ…私のことどう思ってるの?」
「…幼なじみ?」
「え?なんで疑問!?」
すると亮が帽子をのけて、うちわのようにぱたぱたした。
「そんなに暑い?」
「おー。緊張してんだよ」
「緊張…?」
「だってよ、今から言う言葉で俺たちの未来が左右されるんだぜ?緊張するなとか無理なことだ」
「?」
それでもわからない凉。亮は、稜がブーツを見ている間に買っていたペアリングをポケットから出した。
「これ…」
「……俺とずっと居たいなら、取れ」
それはプロポーズのようにも聞こえた。
「…ありがとう」
凉はペアリングの一つを取った。
「本当に…?」
亮が確認で聞いてきた。凉は黙ったまま頷いた。
「良かったあぁぁぁ」
亮は帽子を深くかぶった。ツバで顔が隠れる。
「亮、」
「さっき、聞いてただろ?どんな関係?って。あれ聞いてさめちゃくちゃ不安だったんだぜ?にしても良かったあぁぁぁ!」
亮の喜びように凉も微笑んだ。
「私も良かった。ずっと亮を思ってたもん」
「本当か?」
「あんたはどれだけ確認しなきゃ信じないのよ」
「す、すまねぇ」
「さ、お昼食べに行こう!で、食べ終わったらデートしよ!」
その出会いが必然でも偶然でも
(どちらにしても、二人の思いは伝わったのだ)
end.
無料HPエムペ!