夕焼けと夜の境界線で
「うへぇ、さみぃ…」
亮は空を見上げた。
夏は過ぎ、秋になり、夜はもう冬のようだ。
「亮!」
「は!?なんでお前が!?」
幼なじみが正門前に立っていた。
「亮待ってた」
「おまっメールしろよ!」
亮は自分の首に巻いていたマフラーを退けて凉に巻いた。
「わーい♪」
「まったく…寒かっただろ?」
「?楽しかったよ!」
亮は目を丸くした。
こんな、寒くて暗い中待っていたのに、文句一つ言わず、しかも楽しかったなど…。
「ははっ!お前の感性は面白いよな!」
「そお?だって街灯がだんだん着いていくのとか、夕焼けが紫がかっていつの間にか藍色に染まってくのとか、楽しかったよ!」
それはもう、新しいことを発見した子どものようだった。
「そっか。じゃあデートとかは夜景がいいのか?」
しかし凉は首を横に振った。
「遊園地がいいな!最後に観覧車に乗って、夕焼けから夜になっていくのを好きな人とみたい!」
遊園地、はよく聞くが、観覧車に乗って風景の移り変わりを共にするなんて。亮は驚きっぱなしだ。
「だからね、亮。デートの時は遊園地に連れてってね!」
それはさりげく亮が好きだと暗示させる言葉だった。亮はその意図を理解して言った。
「俺はアトラクション乗り回すから、観覧車に乗る前にお前はフラフラになってるかもな!」
夕焼けと夜の境界線で
end.
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