日記 SS 人間とヒト(連載ヒロイン&悟浄・少) 『下界の桜は綺麗なんだぜ』 「あぁ、上のと違って儚くて少し切ないが綺麗だな」 お前が好きだと言っていた美しい桜。 でもその生き様は酷くお前の逝き様に似ていて… 「なぁ…どうして…」 どうして、先に逝っちまったんだよッ!! 寿命のない神様だから、永遠の時を共に生きていたかったのに――… どうして…どうして… どうせなら…一人残されるぐらいなら… 「操り人形のままが良かった……」 俺は神様の操り人形。 マリオネットの糸を切ったのは一人の神様。 糸を切ったくせに無責任に放置して 勝手に死んでいった愛しいヒト。 彼が望んだのは、人間らしく生きる事。 俺が願うのは、人形になってしまう事。 俺の世界はアイツが全てで…アイツがいなきゃ世界など無いに等しいのに… 彼の最後の願いを叶える為に、俺は今こうして旅をしている。 いつか、はるか先の…もしかしたら存在しない死。 その時に、アイツに笑われないように…。 アイツが悲しまないように…。 「なぁ、俺は人間になれただろうか…」 季節外れの雪が舞う空に問いかけた。 答えたのは、彼と同じ声の真っ赤な河童。 「元から人間じゃね」 人間になりたくて (でもヒトにはなれなくて) [*前へ][次へ#] [戻る] |