日記 SS 吹雪き (剣八) ヒュー…ヒュー… と細かな雪が風に舞う。 「寒ぃな…」 いつもは大きく肌蹴ている死覇装の合わせを、雪と同じ色の羽織で隠す。 穏やかな雪であれば、雨戸でも開けて雪見酒を決め込むところだがこう吹雪いていては、とても酒どころじゃない。 リン、リン、と髪の先端に付いている鈴が忙しなく鳴り続けている。 尖らせてある髪は雪で少し湿ってしなり始めている。早く部屋に帰って解いてしまいたかった。そして熱めのお湯に浸かって温まりたい。 足早に部屋へ向かおうと歩を進める。 真っ白な雪に紅い、血の跡が点々と付いていた。 どうやら俺の部屋の方へと続いてるようだ。 部屋へ向かえば向かう程、真新しい血痕に出逢う。 部屋の扉の前に、……モノクロの死神がいた。 雪と同じ肌の色に、漆黒の死覇装。付近の雪は真っ赤だった。 「おい、生きてんのか?」 もう息絶えたもんだと思ったが、一応声を掛けてみる。 少しして、薄らと瞼が開いた。 「なんだ、生きてんじゃねえか。……また、死に損ねたのか ―――― 一角。」 「…馬鹿、言わねえで下さいよ。…俺は…生き延びたんです。」 あの時と同じだ。死に損ねたコイツは、生き延びて俺の元へ向かってくる。 こういうところが飽きねえんだ。 弓親も、一角も、やちるも…… 俺だけ目指して向かってきやがる。そして力をつける。 流魂街に居た頃とは比べ物になんねえくらい、おもしれえ。 面白い玩具を失わねえように 気を失った一角を一応部屋に放り込む。 滅多に使わない伝令神機で弓親を呼び寄せた。 まだまだ死なれちゃ困るんでな。 どうせ死ぬなら俺との死合いで派手に散れ。 剣ちゃんに拾われる一角。 なんで怪我したのかとか、なんで剣ちゃんとこに来たのかは不明。 ただ、剣ちゃんは冷たく見えても優しいのよってハナシ [*前へ][次へ#] [戻る] |