日記 SS 歯医者(剣八 ?) 【歯医者…】 きゅぃぃぃいいん 甲高い機械音が響く。鼻につく消毒液の匂い。 小さい頃は誰もが恐れたであろう歯医者。 いい年になっても、やはりまだ怖いと思う。 神経に直接触れるあの感覚。 切り刻まれるときの痛みとは違ってやはり苦手だった。 1時間30分近くに及んだ治療は終わりを迎え、受付で支払いを済ませる。 受付の看護師が、「次の予約は○○日に入れときますね。ついでに、その次の予約も入れときましょうか」と言って、スケジュール帳を開いた。 「それじゃ、●●日にも予約入れときますから…忘れず来てくださいね」 その言葉の裏に、逃げるなと言う意味が含まれていることにうっすらと気がついた。 予約カードを受取り、外に出るともう日は沈み町並みは闇に沈んでいた。 街灯の頼りない明りに吐息が白く浮かんで闇に溶けた。 「寒ぃな…」 ぼそりと呟かれた言葉は誰の耳にも届かなかった。 暗い道を一人で歩いた。治療を終えたばかりの奥歯が、仮の詰物の下で疼いた。 「また、いくのめんどくせえな」 いつものようにサボろうかとも考えたが、また痛くなるのだけはごめんだと、携帯のスケジュールにアラームをセットした。 (一人じゃなきゃ、寒さも痛みも軽減しただろうに…) 前のサイトでupしたヤツ。…イメージは剣ちゃん。 [次へ#] [戻る] |