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私を誰かに重ねていた君へ


夏の夕暮れ時、夕日に照らされて更に赤みを帯びたポストがカタン、と鳴った。

差出人である少女は小さく笑っていた。





拝啓 仁王雅治さま。

こんにちは、お元気ですか?
私が県外の高校へ行って早二年。
あの日、あなたに振られてからもう二年が経つのです。
私も皆と同じ高校に進みたかったです。
仁王くんの隣にいたかった。

本題ですが先日、柳生くんから電話がありました。
柳生くんのおかげで、あの日振られた理由が分かりました。
あなたは私の前に付き合っていた方を愛していたこと。
遊びなんかではなく、本気だったこと。
でも、彼女は事故で亡くなってしまったこと。
そのときに出会ったのが私だったこと。
全て、教えて貰いました。
でも、ちっとも哀しくありません。
何故でしょうね。
私は本当にあなたを愛していた。
あなたは亡くなった彼女を愛している。
哀しくはないのですが、一つ言わせて下さい。
彼女は彼女で、私は私です。
幾ら私が彼女と似ているからといって、
重ねて欲しくなんかなかった。
私自身を見て欲しかった。

…本当は知ってたんです。
私といるときのあなたは、
何処か遠くを見つめていたことを。
いつも頑張ってたんですけどね。
真っ直ぐ私の目を見てくれる日を、夢見てました。

ふふ、何だか変な文になってしまいましたね。
ごめんなさい。

それでは、さようなら。
ありがとう、大好きな仁王くん。







「本当に、大好きでした」

幸せな日々を、ありがとう。



もううことはないでしょう



090824
提出&感謝:にお∞様




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