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椿「…僕はそんなにサイズ変わらないと思うけど…」


町中の娘にガラスの靴を履かせまくるとか、ムチャクチャにも程があるっつー話やよなぁ。普通同じサイズのヤツなんか、何人もおるやろ。


雅弥「まぁ、所詮はおとぎ話だからね。…で、どうですか? ぴったりですか?」

椿「ん…、でも少しだけ、大きいかな」


ガラスの靴を履いて緩く首を傾げた継姉Bに、お城の使者は微笑みます。


雅弥「そうですか。良かった」

椿「?」

雅弥「貴方が王子様の捜し人だったら、俺が困りますからね」

椿「…? どうして?」


どこか意味深な彼の笑みに、継姉はぱちりと瞬きました。

ガラスの靴を履いたままの彼女の唇に、添えられるお城の使者の人差し指。


雅弥「…さぁ? どうしてでしょうね?」

椿「え? …えぇ?」


レンズの奥で含んだように笑う瞳に、戸惑いながらも顔が赤くなっている継姉B。


唯人「おやおや。…もしかせずとも我が家の娘たちは、近いうちに全員お嫁に行ってしまうかもしれませんねぇ」

龍治「…お前も含め、家族全員で結婚ラッシュか?」

鈴「いっその事合同結婚式とかにしちゃったらどうかなぁ?」

唯人「あぁ、それも良いかもしれませんね」


そんな二人の様子を見て呑気に呟く家族たちは、なんかもう全員分かりきってるな(笑)


雅弥「…さ、最後の一人に靴を履いてもらわないと…」

椿「あ、じゃあ僕御門くんを呼びに……わっ!?」


思わず片足にガラスの靴を履いたまま立ち上がりかけた継姉Bは、バランスを崩して転びかけてしまいます。


雅弥「…危なかったですね。大丈夫?」

椿「あ……ありがとう…」


ですが、お城の使者が彼女を抱き止めて事なきを得ました。


唯人「…おやおや」

鈴「お兄ちゃん、お顔真っ赤ー」


継母と継姉Aは口元に手をやりつつ、その様子をによによ見守っていました。

…頬を真っ赤に染めた継姉Bは、無表情のまま恥ずかしそうにして階段を上がります。


椿「…御門くん、」

御門「俺はいません! いないって事にしておいて下さいっ!!」

雅弥「それだけ叫んでおいて、いないとか言われてもねぇ…」


部屋をノックしてみても、シンデレラが出てくる様子はありません。

継姉Bとお城の使者は困ったように顔を見合わせます。


椿「…どうしよう…」

雅弥「此処が他人様の家じゃなければ、蹴破ってやるんだけどなぁ…」


使者、発言がさり気なく過激です。


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