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…さてさて、舞踏会から一晩明けた朝。お城からのお触れに、街の人々は騒いでいました。

舞踏会で王子様と踊り、口付けを交わし、挙げ句王子様の横っ面を張り飛ばして逃走したあの美しい娘を、王子様が捜しているというのです。

その娘が投げ捨てて……いや、残して行ったガラスの靴。その靴がぴったりと履けた娘と、王子様は結婚するのだそうです。


唯人「…おやおや、それはもしかしなくともシンデレラさんの事ではありませんか」

御門「……俺、やっぱこの靴ブチ割るわ。…んで、使いとかが持ってくるだろうもう片方も破壊する、そしたら丸く収まるな?」


ガラスの靴を持ち、ムチャクチャを言い出すシンデレラ。

けれど継母を膝に乗せた魔法使いが、淡々と言います。


龍治「俺の魔法で出来た靴だ。そんなに柔な作りはしていない」

御門「防弾ガラスかよ!」


昨日階段に放り投げても割れへんかった靴やからな、確かに材質はかなり丈夫そうです。


鈴「お母さーん、玄関にお客さん来てるよー。何か、お城の人だって〜」

御門「! お、俺部屋に戻ってるから! いないって事にしといて、出来れば原作通り鍵でもかけといてくれっ!!」


言って、二階にある自分の部屋に逃げ込んでしまったシンデレラ。

継母は肩をすくめてそれを見、ぼんやりしている継姉たちを振り向きます。


唯人「…まぁ、とりあえず椿さん、お客様をお迎えしてきて下さい」

椿「…あ、うん」


継姉Bが玄関に行ってドアを開ければ、お城の使いが立っていました。


雅弥「失礼します、この家に若い娘さんはいますか?」

椿「えっと…僕と鈴と御門くん…でいいの、かな?」

雅弥「三人ですか。…すみません、町中の若い娘に靴を履かせるように言われているので」


お城の使いは眼鏡を軽く押し上げ、片手に掲げたガラスの靴を示しました。


唯人「ようこそいらっしゃいました、お城の方。…今、お茶でも淹れて参りますので」

雅弥「いえ、お構いなく。…それより、娘さんたちに靴を履かせて頂きたいのですが」

唯人「そうですか。…では鈴君、とりあえず履かせて貰ってみて下さい」

鈴「はーい」


…とは言っても、ガラスの靴はシンデレラの靴。小柄な継姉Aには大きすぎるようです。


鈴「わぁ、ぶかぶかですー」

雅弥「そのようですね。まぁ、貴方ではないようです」

鈴「当たり前だよね〜」


継姉Aはぶかぶかのガラスの靴を脱ぎ、隣の継姉Bにパスします。


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