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砂凪「あ、明良君を見付けてくれてありがとうございます。…えと、お名前……」

桐琉「桐琉だ」

砂凪「桐琉さん。…あの、えっと、何か僕にお礼出来るような事…ありますか?」


ハムスターはこてりと首を傾げます。

それを見た狼は幾度か瞬きすると、小さく笑ってから腕の中にいるハムスターに顔を近付けます。


砂凪「…え…?」

桐琉「…なら、“お前”を貰おうか」


チュッ、と軽く音をたてて。見せ付けるように奪われた、ハムスターの小さな赤い唇。

…いやー、見せ付けてくれるなぁ(笑)


砂凪「え……、えっ、…えぇぇぇっ!?」

明良「うわぁ、うわー、うわぁー…!」


瞳をこれでもかと見開いたかと思えば、ハムスターは真っ赤になって大絶叫。

傍らでうっかり一部始終を目撃してしまった仔猫も真っ赤で、一人狼だけが涼しい顔です。


桐琉「ん、可愛いな、お前」

砂凪「かっ、かわっ…!? えっ、ええとあのその、いっ、今っ…!?」

桐琉「何だ? もっと激しい方がいいか?」

砂凪「もっ…!!?」

明良「きゃっ、きゃー! 砂凪が別の意味で食べられる〜っ!」


ハムスターを抱えた狼はニヤリと笑い、その腕の中でハムスターは絶句して真っ赤に。見ていられなくなった仔猫は、手で両目を隠しつつ叫びます。

なかなかカオスな状況になってきたな(笑)


桐琉「…お前、俺のトコロに来ないか?」


おっと、ここでプロポーズ!?


砂凪「えっ…、あの……でも僕はシンデレラさんのお家のペットなので……、桐琉さんのところに行くのは……」


ハムスターは戸惑ったような表情を浮かべながらも、顔は真っ赤で案外満更でもなさそうです。


桐琉「…お前、人に飼われてるのか。じゃあ何でこんなところにいるんだ?」

砂凪「えと、シンデレラさんの付き添いみたいなもので…」

桐琉「ふぅん…」


何やら少し考え出した狼。

その腕の中で、ハムスターはほんのりと頬を赤くしています。

…さて、そんな此方は此方として、戦場に赴くような心地で舞踏会に出掛けて行ったシンデレラの方はどうなっているでしょうか?

…そろそろ本筋に戻らへんと、何の話やったか分からなくなってきてまうからな!


御門「…うぅ…、こんな場所にこんな格好で…。俺は何をやってんだ……」


って、まだ会場に入ってへんかった! 扉の前で自問自答しとった!

コラァ、シンデレラ! 何ちんたらしとんねん、さっさとダンスホールに入らんかい!!


御門「っ、だって中入ったらいよいよ戻れない気がして……!」


どっち道もう戻れへんがな!

…もう、シンデレラが舞踏会に参加せな話が進まんやろうが!


御門「ううっ、他人事だと思いやがって…。あぁでももう、行くしかねえかチクショウ!」


バンッ、思った以上に勢い良く扉を開けてしまったシンデレラ。

必要以上に注目の的になります。


御門「…う…げ」


そんな、やっちまったー、顔しても、自分のせいやからな?


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あきゅろす。
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