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母と娘(瑪瑙と鈴)

「ねぇお母さん、髪を結って頂戴」


去年の誕生日に同じ日に生まれた双子の兄から貰った赤いリボンを手に、瑪瑙は母を呼んだ。

本を読んでいた鈴は顔を上げ、じっと自分を見つめる飴色に微笑む。


「いいよ。…ちょっと待っててね」


リボンだけでは、髪は結えない。洗面所からブラシを取ってきた鈴は座椅子に座り、もう自分の身長を越しそうな末娘を膝元に呼んだ。

ちょこりと座った瑪瑙の蜂蜜色にブラシを通しつつ、リクエストを訊く。


「どんな風に結びたいの?」
「一つに纏めてアップにして、右側へ流して」


この辺りに、と頭頂部より少しずらした場所を示した瑪瑙に頷き、鈴は自分と同じ髪質の長い髪を纏め始めた。

ふわりと指に絡む、わたあめのような柔らかい髪。背中の中ほどで揺れる毛先に、鈴は何気なく呟く。


「…瑪瑙の髪も、結構伸びたねぇ」
「そうね。…乾かすのが、ちょっと面倒になってきたわ」


冗談めかして笑う瑪瑙の髪を梳きつつ、鈴は重ねて訊く。


「今度、髪切りに行く?」
「いいえ、このままでいいわ」
「そっか」


瑪瑙が示した頭頂部の辺りに結び目を作りながら、鈴は返した。

彼女は女の子だ。ロングの方が色々髪型をアレンジし易いし、それで構わないのかもしれなかった。

元より器用な手先でリボンを結んでいると、瑪瑙がふと呟く。


「私ね、お母さんと同じ色のこの髪が好きだわ」
「…へぇ」
「ふわふわの蜂蜜色。…わざわざ矯正をかけたりする友達もいるけど、私はこの髪が何よりお気に入りなの」


リボンを結んだ鈴が流した毛先を指先でなぞりつつ、瑪瑙が淡く微笑む。

ブラシを下ろした鈴が、可愛い娘に小さく笑った。


「そっか。…瑪瑙の髪は、僕とおそろいだもんね」
「そう、お母さんとおそろいだもの」


さらりと肩にかかった髪を払った瑪瑙は、振り返って大好きな母に問う。

アップにした髪と共に流れる赤いリボンが、ゆらと揺れる。


「ねぇ、似合うかしら?」
「ん、瑪瑙はいつでも可愛いよ」


くすっと笑うと、瑪瑙も目を細めて笑った。


「…お母さんの色を受け継いで、本当に良かったわ」



この色が、私の何よりの自慢なの












鈴と瑪瑙の話。母娘のほのぼの話w
兄弟の中で唯一鈴と同じ色合いを継いだ瑪瑙は、それをかなり気に入っています(笑)

“女の子”な話にしたくて、髪を結んでもらう話に。…息子たちはこんな事はしませんからねw

基本瀧沢兄弟はマザコン(笑) お父さんももちろん好きですが、でもお母さんの方がもっと好きです。的な感じで(笑)


09/9/21

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あきゅろす。
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