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思わず脱力した唯人たちの空気に、龍治も怒る気が削がれたらしい。ため息をつく唯人を抱え上げ、ソファーに座って膝の上に乗せる。
「…とりあえず座ればどうだ」
「あ、どうも」
一人掛けのソファーに座った龍治に対し、向かいの二人掛けのソファーに腰を下ろす。…が、龍治に触発されたのか、利也はちゃっかりと明良を膝の上に乗せた。
「…あの、利也…」
「ん〜?」
「…いや、何でもない…」
明良が物言いたげに利也を見上げたが、ニッコリと有無を言わさぬ笑みを返されてしまい撃沈する。…さり気なく、先程唯人に飛び付いた事を怒っているらしい。
一方小さくなった事によって膝だっこに何の違和感も無くなってしまっている唯人は、そんな二人を正面に眺めつつゆるりと首を傾げた。
「そういえば、お二人はこんな時間からどうしたんです?」
「あっそうそう、今話題のケーキ屋でプリン買って来たんやけど、せっかくやから唯人クンの紅茶でみんなで食べよかと思ってたんやけど……」
いつもは軽快な利也の語尾が、龍治の膝上に座る唯人を見て小さくなっていく。
こんなに小さくなっている彼に、「お茶淹れて♪」なんて軽々しく言いづらいのだろう。
それを察した唯人はクスリと笑い、龍治の膝からぴょんと下りる。
「大丈夫ですよ、お茶なら今から淹れてきます」
「ぇ、ホンマ大丈夫?」
「少々コンロなどが高いかもしれませんので、踏み台を用意して下さると嬉しいです」
後半の台詞は龍治に向け、唯人はキッチンに向かっててこてこと歩き出す。すぐに追い付いた龍治が彼を抱え上げ、冗談混じりに囁く。
「踏み台代わりに抱っこしといてやろうか?」
「火を使うので危ないですよ」
クスリと笑う幼児を見送った二人は、やや呆然として呟く。
「…何故だ、異常事態な筈なんに全くいつも通りに見えるんは…」
「バカップル強い…」
そして未だ膝だっこ状態の利也と明良もまた、充分にバカップルだ。
「……てかあれ、ちゃんと戻るんか?」
「いきなりああなったんなら、いきなり戻るって可能性もあると思うけど……、久籐先輩はもしかしたら戻らなくてもあんまり気にしないかもしれない…」
「恋人が幼児化しようが大して気にせんって…」
「…愛の成せる技かなぁ…」
親友カップルが呆れているとは知らず、龍治と唯人はキッチンでまったりとイチャつき続けながら紅茶を淹れるのだった。
倖せで、何より。
あぁ、翌朝起きたら戻ってましたよ。何だったんでしょうね?
七夕企画、咲く花編。だから七夕全く関係ない(爆)
ショタ化する唯人の話でした〜。思いの外長くなっちゃったので、最後の方無理矢理終わらせちゃいましたが(^^;) ぶっちゃけ、元に戻るシーンとかはそんな重要じゃないんだw
大事なのはちっさい唯人に萌え萌えする龍治です、変態です(爆) あと可愛いもの好きな明良とかw
明良の猫耳ショタ化も機会があればやってみたいw そしてこれは限りなくえろ臭い(爆)
→09.7.18. 薄衣砂金
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