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「…お誕生日おめでとうございます、椿さん」
「…え……あぁっ!」


そっとその瞳を覗き込みながら告げれば、珍しく大きく声を上げて椿は雅弥を指差した。


「…今日、5月20日!」
「だから最初に“今日は何の日”って訊いたでしょう…」


今気付いた!、というベタベタなお約束過ぎる態度に、雅弥は思わず脱力してしまった。頭を支えるのが重くて、すぐ側にいる椿の肩にもたれかかる。


「…雅弥くん?」
「主役を呼びに来るだけで、こんなに疲れるとは思ってませんでしたよ…」
「あっ、パーティ…?」
「そうです。鈴が御門をこき使いながら、色々作ってましたよ」


出てくる前の420号室の状況を思い描き、雅弥は微かに笑った。

張り切って兄の好物を多量に準備していた鈴は、流石に一人では動ききれなかったらしく友人では一番使える御門をアシスタントに任命して忙しそうに働いていた。
…仲間外れを不服とした愛紗が手伝いに行こうとして、台所を出禁にされていたのが更に笑えたが。

椿の肩で一頻り笑いを噛み締め、顔を上げて人形のような綺麗な顔立ちを覗き込む。


「…行きましょう、椿さん。みんなが貴方を待ってますよ」
「あ、うん…」


まだ若干呆けている綺麗な人の手を引いて、雅弥は歩き出す。


「あっ、雅弥くん」
「何ですか?」


半歩遅れた椿が、握られた手を握りかえして言う。


「ありがとう。…凄く嬉しい」
「…鈴が喜びますね」
「鈴に会ったら、鈴にも言うよ。…今の“ありがとう”は、雅弥くんに」


振り向くとその人の顔は、普段の無表情が何なんだと思う程にそれはそれは美しく微笑んでいて。

雅弥はまたもや、思わず言葉を失ったのだ。



…今日は天然な貴方に、完敗(乾杯)










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5月20日、椿のお誕生日祝いでした〜w …3月頃ちょうど忙しくて鈴の誕生日である3月5日はスルーした癖に、気付いちゃったから椿の誕生日はちゃんと祝います(笑) おめでとう!(爆)


本編でフラグが立ったばかりの雅弥と椿。まだ関係も掴みきれてないので、完全手探りで書き進めました。
…今回は椿の天然っぷりに雅弥が完敗しましたが、一年生組ドS担当として、ちょっと意地悪に攻めていって欲しいです、理想としては(爆)

時間軸は本編沿いに近く、まだ恋人には遠い二人です。ただの先輩後輩よりは親しいかな、って感じですかね。


この後は翡翠や孝雪たちも含めてみんなでパーティですが、そこまで書ける気力はなしに(^^;) とりあえず、フラグ立ちたての二人の見切り発車という事でw

お誕生日おめでとう、椿! さりげなく二年面子では一番誕生日早かったんだね(爆)


→09.5.20. 薄衣砂金

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あきゅろす。
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