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D やっと? やっとなのか!?

おはようございます。待ち合わせには5分前には着く方、伊織です。

今日はいよいよ、慎哉と保の映画館デートの日! …ユージに聞いたところ、保はちゃんとこれを“デート”だと認識している様子。いい傾向だ。慎哉はどうなのか知らないけど。

駅前のハンバーガーショップの二階窓際席に座り、私はコーヒーを啜った。此処からなら、二人の待ち合わせ場所である駅前広場がよく見える。

隣に座ったユージがポテトを摘みつつ、チラリとケータイに視線を走らせる。


「…あの二人、待ち合わせは10時って言ってたっけ」
「らしいよ。映画は11時半の回みたいだし」


事前にさり気なく、今日のスケジュールは慎哉に調査済み。

…彼は「なら伊織も一緒に来ればいいじゃん」なんて軽く言ってくれたが、それじゃあせっかくユージがお膳立てした意味がない。その日は部活の試合があるから、って言って断っておいたよ、もちろん嘘だけど!

飲み干したコーヒーの紙コップに挿したストローをガジガジと囓りながら、私もケータイで時刻を確認する。

待ち合わせの10時まで、あと10分。そろそろ慎哉が来る頃だ。


「おっ、シンヤ来た」


ジャストタイミング。ユージが指差す窓の外を覗き込むと、見慣れた姿が見えた。


「うーん、私服でもイケメンだなぁ、シンヤ。スカウトとかされそう」
「実際された事あるみたいだよ。めっちゃ困りながら断ってたけど」


普通に街を歩いてるだけで、女の子から写メ撮られる事もあるみたいだし。…まったく、イケメンも大変だ。あと盗撮ダメ、ゼッタイ。


「いおりんもそれだけ美少女なら、スカウトとかナンパされたりするっしょ」


半トーン下がった声で、ハンバーガーが包まれていた紙で折り鶴を作っていたユージが此方を振り向いた。…ていうか無駄に器用だな、ユージ。


「んー、ナンパはあんまりない…かな。だいたい慎哉と保と一緒だし」


ハイレベルなイケメンな慎哉と美少女顔負けな保を連れている状況で、声を掛けてこれる勇者な男は滅多にいない。

スカウトは、実は何回かあるけど。でも目立つの絶対に嫌だし、いつもお断りさせて貰っている。たまに頼まれる雑誌のストリートショットとかも、断固拒否させて頂いてますが、何か。

隣に座るユージの視線が、ぐさぐさと私の右半身に突き刺さる。ユージって笑顔だと超フレンドリーだけど、無表情だとちょっと取っ付きにくいんだよね。基本いっつも笑ってるから、みんな割と知らないだろうけど。

はぁーっ、と深くため息を吐く声が聞こえた。とん、とユージの指が窓をつつく。


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あきゅろす。
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