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「ん。大丈夫、だと思うよ。選択も記述も合ってる、…って言っても、俺が間違えてる可能性もあるけどね」
「いえ、そんな事…! ありがとうございます」


ぺこっと頭を下げる…、のは彼の癖的なものなのかな。ふわりとした髪の間から覗く旋毛が、なんとなく可愛らしい。

すっかり氷が溶けて薄くなってしまったアイスコーヒーに手を伸ばしつつ、俺はほのぼのとした気持ちで微笑んだ。

うん、こんなカンジの弟欲しかったかも。俺一人っ子だからね。


「いや、基本問題はすらすら解けてたし。アサキくん結構成績いいでしょ?」
「えー…と、普通、だと思います」


曖昧に笑っていう言葉は、多分謙遜かな。まぁいいや。


「正直俺のお節介なんか必要なかったかな、って思ったよ」
「そ、そんな事ないです!」


苦笑いしながら告げると、ぱたぱたと慌てた様子で手を振って否定してくれるアサキくん。

歳下に気を使って貰ってる自分って…、なんて思ってしまい、俺は小さく顔を歪めた。


「あっ、あのホントに俺助かりましたし、嬉しいですから! この前の事も、今日の事も」
「…ん、ありがとう。いい子だね、アサキくんは」


わたわたとしながら必死に俺をフォローしてくれる様子は、何となく家で飼ってる犬を思い出す。

犬って、飼い主が落ち込んでると必死に慰めようとしてくれるんだよね。可愛いよね。

今の俺は落ち込んでるって程じゃなかったけど、慌てるアサキくんを見てウチの犬を思い出し、何となくその頭を撫でてしまった。

きょとん、とした丸い瞳が俺を見上げる。しまった、流石に馴れ馴れし過ぎたか。


「あっ、ごめん、つい」
「…あ、いえ…」


慌てて手を引っ込めると、戸惑ったようにアサキくんが首を振る。

ただでさえ微妙に気まずかったのに、何してんだ俺は。

何とも言えない沈黙は、僅かの事。カフェオレを口にしたアサキくんは、小さく息を吐いて此方を見上げた。


「……高町さんって、何だか“お兄ちゃん”ってカンジですね」
「え? そう…かな。一人っ子なんだけどね。アサキくんの方が、弟タイプなんじゃない?」


弟にするならこんな子がいいなぁ、なんて思っていた為、そんな言葉が出る。


「そうですか? 俺も一人っ子なんですけど」
「そうなんだ。何となく兄弟居るのかと」


てっきり弟タイプだとばかり思っていた。まぁ、一人っ子なら一人っ子で納得はいくけど。

同じように、俺を兄タイプだと思っていたらしいアサキくんは、ぱちぱちと瞬いて俺を見上げている。そんなに意外かね。


「…んー、じゃあ俺が兄貴になって、アサキくんが弟になればカンペキかもね」


いや、何がカンペキなのかは分からないけど。

我ながら適当な事を言いながらグラスを置くと、円らな瞳がじっと俺を見上げた。


「…そう、ですね」
「いやいや、ごめん、冗談だよ」
「俺のお兄さんになって下さい!」
「えぇぇ!?」


いきなり真剣な面持ちになったと思ったら、何を言い出すのこの子!

いや、アサキくんみたいな弟なら大歓迎ですけどね!? 何か、いきなりそんな事言われると何事かと思うよ!?


「あー、えーと……」
「…あっ、すみません…」
「いや、いいよ」


我に返ったのか、ハッとしたように赤くなって縮こまるアサキくん。まぁ確かに、今のはちょっと変だったけど。

でも意外と、満更でもないかな。


「……とりあえず、メアドでも交換しよっか、弟クン」
「…はっ、はい、お兄さん!」


なんだこれ。とは、思わなくもない。



弟分が出来ました。















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博仁お兄さんは天然タラシ(笑)

この時点では博仁←アサキくんっぽいですw お兄さんは天然で手強いから、頑張れ、アサキくん!


12/8/29

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