short
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「…好きなヒト、ねぇ…。…少なくとも、爬虫類が嫌いなヒトとは仲良くなれないと思うんだよね」
呟いた春氷の制服の中から、にょろりと出て来たのは白蛇のミズチ。
親戚である静こそ慣れっこなので驚かないが、他の幹部たちはキャッとかワッなどと悲鳴を上げて揃ってガタガタと引いた。
そんな彼らの反応を見やり、春氷は肩をすくめる。
「…ね?」
「ね…っていうか…、いい加減服の中にミズチ入れて連れ歩くの止めなよ」
ため息を吐いた静は蛇に引いている親衛隊幹部たちを、毒も無いし、いきなり飛びかかったりもしないから、と微妙な言葉で宥めた。
春氷が白蛇の頭をツンツンと指先でつつけば、イイコのミズチはひょいっとまた春氷の服の中に引っ込む。
「…センセーには怒られた事ないよ? 生物の宮地センセーには、危うく捕まりかけたけど」
「捕まりかけた?」
「白い蛇の標本が欲しい〜、って。久しぶりに全力使って逃げた」
「…あ、そう…」
微妙に恐ろしいエピソードに、静はリアルに想像する事を放棄して曖昧に相槌を打った。生物学担当の宮地教諭は、美形だが人間的に問題アリのマッドサイエンティストだ。
言う割にさほど気にしていないように見える春氷は、相変わらずクッキーを頬張りながら続ける。
「…まぁ、ミズチを見て驚くような人とは、俺は絶対付き合えないよ。見て喜ぶとまではいかなくても、せめてせーちゃんとか会長とかみたく動じない精神は欲しいなぁ」
「まぁ僕は慣れてるからね…、っていうか、会長様にも見せたの?」
「あー、この前ご飯食べてた時にね。初見で叫んだり、引いたりしない人は貴重だよねー」
一応、自分がマイノリティである自覚はあるのか。
マイペースに呟いた春氷に、静は疲れたように肩を落とす。
会長、の言葉に反応した他の幹部たちも、春氷相手に嫉妬したりはしないらしい。寧ろ、何事にも動じない精神は流石会長様、などと暁を褒め讃えていた。
実際、暁は彼なりにミズチに驚いていたのだが、それを知る人間は当人以外にはいない。
「…、会長が爬虫類好きさんだったら、ミズチのおとーさんに良さそうだったのになー」
「ミズチ基準で考えるんだねそこは…、と言うかその発言は敵を作るよ、春氷」
「爬虫類が好きな会長様…」
「…それはそれで…、素敵?」
「…すっかり毒されてたね、みんな」
聞きようによっては問題発言とも取れる春氷の言葉は、彼のキャラクターの賜物か親衛隊幹部たちには特に気にされないで終わった。
実に平和な幹部たちと従兄弟を見やり、苦労性な親衛隊隊長はため息を吐く。
(…春氷と会長様か…、ある意味平和そうでいいかもね)
会長様は生徒会では唯一の常識人だし、と役員たちに失礼な事を考える静は、ぼんやりとクッキーをかじった。
少なくとも、トラブルメーカーな編入生クンよりは百倍マシ
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傍観者第三弾。2ページ書いてから3ページ目をアップするのに、これまた数ヶ月間が開いちゃいましたすみません(^^;)
会長不在で、らぶなど微塵も存在しない話(笑) とりあえず傍観者は親衛隊とも仲良しですよ、的なw
親衛隊内では、会長と編入生が接触するよりは春氷とほのぼのやってる方がいい! 春氷、頑張れ(笑)、みたいな間違った派閥が出来つつありますw ← 春氷の意志は割と無視ww
しかし、こんなペースでホントに春氷と会長はくっつけるんでしょうか?(爆) 春氷ペット以外眼中にないじゃんかww
10/11/21
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