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short
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「…お前のペットなのか」
「そうですよ、名前はミズチ。珍しいでしょ、白い蛇」
「まぁ、確かにな」


本来あまり物事に動じない性質の暁は、頷いて気を取り直したように卵焼きを摘んだ。…流石である。

ちなみに寮はペットOKなので、飼っている事自体には問題はない。問題なのは、


「…何で連れて来てるんだ」


しかも、服の中に入れて。

ため息混じりの暁に対し、唐揚げの衣を剥がして身を裂いてやっている春氷はけろりと答える。


「寮に置いてきたら寂しがるんですもん」
「どっちが?」
「ミズチが」


なー?、と白蛇に呼び掛けつつ、春氷は身を裂いた唐揚げを白蛇の前に差し出す。ペロリと丸呑みにする様は、流石蛇だ。


「ちびの頃から俺が育ててるから、俺の事おかーさんだと思ってるんですよね。甘えっこなんです」
「…そうか」


ツッコむのも面倒で、暁は相槌を打つに留めた。

確かに白蛇は春氷に擦り寄り彼に懐いているようだが、おかーさんは如何なものだろうか。

暁は気を取り直して皿に箸を伸ばしたが、続く春氷の言葉に思わず動きが止まる。


「やっぱ片親だから寂しがり屋なのかなぁー。おとーさん欲しいか、ミズチ」
「………、そういう問題か」


つんつんと白蛇をつつく春氷に、暁は長く細く息を吐き出す。

ほとんど冗談のようなものなのか、春氷がけらけら笑っているのにまたため息を吐いた。


「ちなみに会長は爬虫類好きですか?」
「…嫌いではないが、特別好きな訳じゃないな」
「そっかぁ、残念」


応えた春氷はお握りを手に取り、賑やかな集団を眺めつつまた呟く。


「先輩なら、おとーさんになってくれても良いと思ったのに」


それは一体、どういう意味だ。



そして本日もそれなりに平和















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意外と反響の大きかった、傍観者第二段。熟年夫婦とか称されたので、それに関連するようなしないようなそんなネタです(笑)

第二段にあたって春氷の名字やら家業やらや、学園についても一応決めましたが、あんまり生かせてないな(^^;) いや、春氷が白蛇とか珍しいものを飼ってるのは、実家の関係もあるんだよ、っていう… ←

多分、他にも色々飼ってるかと。珍しいものとか、奇妙なものをw

春氷は変わったものが好きそうです。あとちょっとズレてる(笑)


…今回はちょっとラブがあったような、ないような(笑) ←


10/3/8

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