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悪戯しちゃうぞ!(14年ハロウィン)

「お菓子は要らないから、悪戯させてね」
「……は?」


にっこり、とその美貌を存分に生かして微笑みながら大概酷い台詞を吐いた相手に、セインは思わず口をぽかんと開けて間抜けな声をあげた。

とろけるような甘い笑みを浮かべたヘンリーの頭の上にちょこりと載っているのは、その艶やかな髪と同じ色をした白銀の三角耳……所謂ネコミミである。

その中性的な美貌のお陰でやたら似合っているそれだが、セインはぽかんと相手を見上げるだけで上手いリアクションが取れない。

微笑むヘンリーは固まるセインにご親切にも、先の台詞を繰り返す。


「お菓子は要らないから、悪戯させてね」
「……、いや、その前夜祭はおかしい!!」


丁寧に繰り返されてやっと意識が戻ってきたセインは、突っ込むように切り返す。

お菓子をくれなきゃ悪戯しちゃうぞ、とは前夜祭お決まりの台詞だが、ヘンリーの場合はお決まりの反対を言っている。

前夜祭ではお菓子を得る為に悪戯をするぞと脅かすのであり、悪戯をしたいからお菓子を拒否するという趣旨ではない。断じて。

ぶるぶると首を振るセインに、ネコミミのヘンリーはゆるりと首を傾げる。


「そうかな? つまり前夜祭は、お菓子を受け取らなければ合法的に悪戯が許されている日でしょう?」
「違うよ!!」
「そう?」


セインが力いっぱい否定したにも関わらず、曖昧に首を傾げたヘンリーはあまり納得した様子がない。……そんな仕草に合わせ、何故かぴくぴくと動く頭の上の三角耳。セインは胡乱げにそのネコミミを見上げた。


「……というか、そのネコミミはどうしたの?」
「此処に来る前にアリア君に会ったんだよ。ロッド君と一緒にみんなにこれを着けて回ってたよ」
「犯人はアリアか……!!」


そういえば午前中の講義で会った彼女は、これとよく似たネコミミを頭に着けていたが。配り歩いているとは何事だろう。そんなに予備があったのか。


「ちなみにアリア君は、お菓子も貰って悪戯(ネコミミ)もし回ってたよ」
「ひどい!」
「そう。それに比べれば、お菓子は要らない私は良心的だと思わない?」
「うーん……」


確かに、お菓子もせしめて悪戯もしっかりするよりは、悪戯だけの方が……。


「って、騙されないから!!」
「うーん、丸め込めると思ったのだけど」


ハッとして叫んだセインに、肩をすくめて呟くヘンリー。

丸め込める、とか言ったか、この男は。唇を尖らせるセインに、その唇をちょん、と指先で突いてヘンリーが言う。


「……じゃあ、お菓子をくれなきゃ悪戯しちゃうぞ、と」
「まったく、最初からそう言えばいいのに。はいはい、お菓子でしょ……、って」


ローブのポケットをがさごそと漁りかけ、今更ながらに気付く。

小腹が空いた時の為に持っていた筈のお菓子は、午前中の講義で根こそぎアリアに持って行かれていたのだと。

青ざめるセインに、ヘンリーはにこりと笑う。


「お菓子がないなら、悪戯しちゃうぞ?」


白銀の麗しい肉食獣が、舌なめずりして囁いた。















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ヘンリーさんは確信犯(笑) 事前にアリアに会ってたから、セインがお菓子を持ってないのは知ってました。相変わらずナチュラルに悪い人です(笑)

エリアリのハロウィンの流れをなんとなーく汲んでます。ヘンリーは割とノリノリでネコミミを着けましたwww


前夜祭当日のアリアさんの流れ

朝。クラスメイトからネコミミ(たくさん)とお菓子(たくさん)を貰う。

午前中選択授業。セインから根こそぎお菓子を奪う。

昼前。エリオットを見付けて、お菓子を貰って悪戯(ネコミミ)を着ける。

その後。ヘンリーに会ってネコミミを着ける。


セインが会ったのは午前中だから、ネコミミは着けられませんでした(笑) 命拾いしましたね、セインww そのせいでヘンリーに捕まりましたがwww


14/10/8〜11/10(拍手掲載)

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あきゅろす。
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