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short
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「あー…、ウォレット、お前はどうだ? お前も一人っ子? それとも末っ子か?」


フィーネと顔を見合わせたエリオットは、とりあえず話の矛先をまだこの中で唯一家族構成を暴露していないセインに変えて話題を逸らした。

おろおろと困ったようにヘンリーを見上げていたセインは、エリオットの示した二択に苦笑いを返した。


「えーっと、ウチは弟が二人に、妹が一人。僕、一応長男です」
「はっ?」
「えっ」
「…ウソ」


苦笑いしながら答えたセインに、エリオット、ヘンリー、アリアがそれぞれ意外そうに声をあげる。

その性格で、まさかの長男だと!?


「いや、その反応は予想してたけど……、ちょっとアリア、いくらなんでも『ウソ』は酷くない!?」
「……信じられない」
「自分でも似合わないのは分かってるよ! でも事実だから!」
「…ウソだ」
「嘘じゃないよ! そんな嘘吐いてどうすんの!」


彼と仲の良いアリアもその情報は初耳だったらしく、だからこそ信じ難いようだ。真顔で首を振るアリアに、セインは強く主張する。

下に兄弟がいる長男であるという事実一つで、何故ここまで強い否定を受けなければならないのか。セインは憤慨するが、彼の性格を知っているヘンリーやアリアは納得がいかない限りだ。


「…じゃあセインは、家ではちゃんと『お兄ちゃん』しているの?」
「……、え、あー…うん」


ヘンリーの問いに、曖昧な頷きを返すセイン。

嘘だ。アリアではないが、この態度ではエリオットもそう思ってしまう。


「…ウソでしょ」
「……う、半分くらい、ウソ。一番歳の近い弟の方が、僕よりしっかり者だから」


アリアの言葉に、今度は否定を返せなかった。

家では地面に穴を掘って読書ばかりしていたセインよりも、彼の一つ下の弟の方が、下の弟妹たちの面倒をよく見ていた。

一応セインが兄弟に馴染めずにいたという訳でもないが、直ぐ下の弟の方がよっぽどマトモに『お兄ちゃん』をしていただろう。

そんな事をぽつぽつとセインが説明すると、アリアが頷いた。


「……ん」
「何納得したように頷いてるの、アリア!」


前から少し思っていたのだが、どうやらアリアはセインを弟分のように思っているところがあるらしい。

その頷きからは、やっぱりセインはこうでなくては、という言外の意図が読み取れた。


(…アリアにも、お姉ちゃん振りたいって思考はあるんだな)


エリオット自身も末っ子なので、アリアは妹分というか雛鳥という気持ちで世話を焼いている部分はある。恋人でもある為、全部が全部そうではないが。


13/7/5

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