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short
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「俺は二人の家族構成は聞いた覚えあるぞ。お互い一人っ子なんだろ」
「うん、そうだよ」
「俺とフィーネは、まぁお互いが兄弟みたいなもんかなー」


呆れ気味に言ったエリオットに、頷くフィーネとランス。

兄弟、というランスの言葉に、曖昧に笑うフィーネに、エリオットは軽くため息を吐いた。二人の関係は、相変わらずである。

それでも仲は良いんだよな、と一緒に付け合わせのポテトを摘んでいる二人を眺め、もぐもぐとケーキセットを頬張っているアリアへ視線を戻す。


「…お前は一人っ子だろ?」
「…ん」
「だよな」


彼女が一人っ子でなくて、一体なんだというのか。

頷いたアリアに、納得したように返す。他の面子もうんうんと頷いていた。

アリアは如何にもな一人っ子タイプである。両親にもよく構われていそうだな、とエリオットは彼女の頭を撫でながら思う。ちなみにその予想は正解だ。


「私の家は、上に兄が一人姉が一人、下に弟が一人に妹が一人だよ」
「へー、オールスターっスね」
「オールスターって。…まぁでも、賑やかそうですね」


ランスの感想にツッコミを入れつつも、確かにその通りだなと相槌を打つ。

穏やかに話すヘンリーの兄弟構成はセインも初めて聞いたのか、ぱちりと朱い瞳を瞬かせている。


「意外と兄弟多いんだね?」
「下の弟妹二人は、私たちとは母親が違うんだけどね。だから歳が結構離れてるんだ、まだ二人共三歳になるかならないかだったかな?」
「えっ…」


そしてさらりと続けられる家庭環境の暴露に、セインの目が更に丸くなる。ヘンリーはあっけらかんとした様子だが、エリオットやフィーネも思わず何とも言えない表情になった。

テーブルの微妙な空気に気付いたのか、ヘンリーは小さく微笑む。


「別に、複雑なお家事情とかがある訳じゃないよ。私が生まれてすぐに産みの母がなくなって、数年前に父が後妻を迎えただけだから」
「……、それなりに複雑な家庭事情だと思うけど」


ヘンリーはあっさりと言ってチーズケーキを口へ運んでいるが、セインは眉を寄せながら小さく呟く。


「私は、あまり気にしていないから。アカデミーに入学した後に生まれた弟と妹だから、年に数回しか会わないし。会う度に大きくなってるんだ、子供の成長って早いよね」
「……」
「……」


小さく笑うヘンリーは、ほぼ初対面の人間がいる席でこんな事を話すくらいだ、本当に気にしていないらしいが、話を聞いてしまった方は返しに困る。


13/6/20

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あきゅろす。
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