short
多分本編には出ない与太話をする話
※ 時間軸はエリアリ、ヘンセイが付き合い始めた後。エリオットとヘンリーは一応の面識は有り、ランスとフィーネとは初対面。
珍しい組み合わせが揃ったな、とエリオットは思う。
最初はセインと一緒に廊下を歩いていたアリアに、ランスとフィーネを連れていたエリオットがいつものように声をかけて。アリア以上の人見知りであるセインが、知らない相手であるランスとフィーネに萎縮してフェードアウトしようとした後ろから、彼の恋人であるヘンリーが現れた。
驚いているセインを後ろから抱き締めたヘンリーにアリアとエリオットが軽く挨拶すると、今度は彼と同寮生であるフィーネが「知り合いなの?」と不思議そうにし、その隣でランスは「そもそもその人誰?」とでも言いたそうな顔をしていて。
何だか面倒臭そうな空気が流れつつあった其処に、絶妙なタイミングでアリアの腹の虫がきゅうと存在を主張した。
「……おなかすいた」と呟くアリアに一気に脱力した彼らは、そのまま流れで敷地内にある食堂に移動し、都合良く空いていた大きめのテーブルに六人で座った。
そのまま一応自己紹介を済ませ、運ばれてきたそれぞれの食事に手をつけつつ、エリオットはいつものようにアリアに食べ物を分け与えたりしていて。
ふと口を開いたのは、アリアのフォークから自分の分のガトーショコラを守っていたセインだった。
「……ロッド先輩って、何か弟か妹がいそうですね」
「何でだ?」
「何でって…、その光景見てたら」
ショートケーキのイチゴを雛鳥よろしく口を開けたアリアの口に運びながら、何でだ?、もないだろう。
セインに言われ思わず苦笑いしながら、エリオットはその言葉にゆるりと首を振る。
「あー、でも俺末っ子だぞ。兄弟は割と年の離れた兄貴が二人」
「えっ」
「……そうなんだ」
予想が外れて驚いた顔をしているセインと、もぐもぐとイチゴを咀嚼したアリアが瞳を瞬かせながら呟く。
クラブハウスサンドをフィーネと仲良く摘んでいたランスが、朗らかに相槌を打つ。
「へぇー、初めて聞いた」
「……、いや、多分お前には言った事あるぞ、ランス」
「そうだっけ?」
「…私は知ってたよ、一応。ランスも一緒に聞いてたんじゃないかな」
フィーネがやや呆れた声で告げる。
一応、三年目の付き合いになる友人たちだ。エリオットには二人以外に同学年で特別親しい友人はいない為、必然的に二人との付き合いもそれなりに深くなる。以前に、互いの家族構成の話くらいはした筈だが。
13/6/16
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