short
11 ※
「……力、抜いてろよ」
「ん…っ?」
囁くと共に、頬を撫でる。
微かな声を漏らした依月が言葉を発するよりも先に、俺は後腔に押し当てた欲をずぷりとナカに差し入れた。
「あぁっ……!?」
「っ、く」
ビクンと震えた躰。拍子に強張った腔に、先端部を埋めようとした俺も小さく呻きをあげる。
苦しそうな表情で俺を見上げる依月に罪悪感を抱きながらも、それでも俺はこの行為を止める気にはなれなかった。
「…依月、力抜けって」
「……っ、うぅ」
優しく優しく頬を撫でて、うっすらと眦に浮かんだ涙を拭いながら囁く。
そんな表情をさせて、ごめんな。
(――でも、好きなんだ)
「ほら、深呼吸して」
「はっ、ふ……」
囁けば、素直に俺の声に従う依月。
苦しそうに喘ぐ依月の背を宥めるように撫でながら、彼の呼吸に合わせて容赦なく下半身は押し進める。
じんわりと汗が滲んだ額に口付けし、また其処を撫でた。
「は…っ、あぁ……」
「……依月」
喘ぐ依月に最早まともな意識などないのだろうが、俺はそっと囁くように彼の名前を呼んだ。
うるうると濡れたチョコレート色の瞳が、焦点が合わないながらも此方を見上げる。
「んっ、あ……」
「…も、少し」
もう少しで、先端部が全て埋まる。
受け入れる為の器官ではない其処は当然狭くて堅いが、アルコールのせいか昂ぶりのせいか、火傷しそうだなんて思う程に熱かった。
「はっ……あぁっ!」
「っ!」
ずぷ、と一番太さのある先端部が埋まると、後は何とか苦せずに突き入れる事が出来た。
衝撃にビクッと揺れる背と、熱くうねる内部。
恋うた相手の中とは、こんなに気持ちが良いものなのか。まだ馴染みきらない内部に動く事はままならないが、ただ中にいるというだけで脳が煮え立つような興奮を覚えた。
「あっ……ふ、あ」
整わない荒い息を吐きながら、短く声を漏らす依月。
その反応や仕草をじっと眺めていると、僅かに濁ったチョコレート色の瞳がふと俺を捉えた。
「…あ、惣…」
「……」
弱い声で名前を呼ばれても、俺は応える事が出来なかった。
これは、合意を得て行っている行為ではないから。後ろめたさと罪悪感で、俺は手のひらで依月の目元を覆った。
「…、ごめん」
「……ぁ」
「動くぞ」
僅かに漏れた声が続かないうちに、俺は馴染み始めた内壁を穿った。
奥を目掛け突き上げると、生理的な反応なのかきゅ、と奥が締まる。
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