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10 ※
後腔を押し広げるように指を進めながら、繰り返し同じ場所を刺激する。
押し倒した依月の躰がビクビクと震え、蕩けた瞳が俺を見上げた。
「ふっ…ぁ」
「……ちゃんと感じてるみたいだな」
良かった。唇の隙間から漏れる喘ぎを聞きながら、俺はもう一本後腔に呑み込ませる指を増やした。
ゆっくりと、中を押し広げるように。時折潤滑油を追加しながら、俺は時間をかけて中を解した。
中を掻き回し、それによって依月が乱れ感じているのを見ているだけで、自分の欲が痛いくらいに勃ち上がっていくのが分かる。
一方の依月も、今は後ろにしか刺激を与えていないにも関わらず、再び勃ち上がった欲がとろとろと先走りを零していた。やはり此方でもきちんと感じてくれるようだ。
愉悦にも似た感情が込み上げてきて、俺は微かに口の端を上げた。離した唇の隙間から、甘ったるい依月の声が漏れる。
「あっ……ん」
「…痛くないか?」
「ん…いたく、ない…っあ」
訊けば、素直な応えが返る。
蕩けた嬌声は、指二本でも痛みを全く感じていないらしい。
流石に三本目となるとそうはいかないだろうな、と思いつつ、俺は依月にまたキスを落として力を抜くようにと囁いた。
「ふ…? あっ…!」
微かに引きつれた声。後腔に直接潤滑油を振りかけながら、三本目の指を後腔にねじ込む。
強張った肩を宥めるように撫でながら、内部のしこりへ指先を伸ばす。
「あぁっ…!」
漏れる喘ぎ。微かに掠れた声に、俺の劣情ももう限界に近い。
勃ち上がった自らの欲を、依月のしなやかな腹筋に押し付ける。触れた硬さに気付いたのか、依月がじっと俺を見上げた。
「…んっ」
「はっ、あ、やぁっ…」
甘ったるい喘ぎ声。滑らかな肌に擦り付けるようにして腰を振りながらも、俺は後腔を馴らす指を止めず掻き混ぜる。
くちゅ、と潤滑油の濡れた音。三本目の動きも大分スムーズになってきた頃、俺の欲もいよいよ限界だった。
「はっ……」
「んっ……、ふぁ?」
ジュプ、といらやしい音を立てて後腔から指を引き抜く。
中に入れられていたものが一気に抜けて行ったからか、依月が不思議そうな声をあげて俺を見た。
これから俺が何をするのか、きっと依月は分かっていない。出来れば、分からないままでいて欲しい。明日の朝になれば、忘れてしまえばいい。
「――こんなのどうせ、今夜だけだ」
自らに言い聞かせるような、呟き。
今夜だけ。今だけだから。
だからどうか、――抱かせて。
既に痛いくらいに張り詰めていた自身を、指を引き抜いたばかりでぱくぱくと口を開けたままの後腔に添える。
きょとんとした依月の甘そうなチョコレート色の瞳。安心させるように微笑もうとした俺の表情は、きっとぎこちない。
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